救護センターブログブログ

2009年4月29日(水)はじめまして

今回は,京都市動物園 野生鳥獣救護センターの紹介をします。
救護センターは、京都市動物園の北西角にあります。動物園とは違う入り口を設けています。たまに動物園と間違って入ってこられる方も。
京都市内と京都府南部で保護された、傷ついた野生鳥獣を救護しています。保護される原因は様々で、交通事故・窓ガラスや建物への衝突・猫やカラスに襲われたり、ネズミ捕りにかかってしまったものも運ばれてきます。 
ケガや病気には必要な治療をして、まずは暖かい室内で飼育します。ほとんどの鳥はダンボールや竹のカゴに入れて飼育しています。これは、中で鳥が暴れても翼がボロボロになりにくいようにするためです。ケガや病気が治ったら,屋外のリハビリケージに移動させます。ここで飛ぶ訓練をしたり、餌を採る練習をします。少しずつ野外の環境に慣らしていきます。
こうして、元気になったら再び野生に帰します。保護されたうちの約40%を帰しています。京都府の職員さんの手によって、適切な環境に放野されます。保護されてきた野生鳥獣を受け入れ、野生に帰すまでが救護センターの仕事です。 
主によく救護されるのは、鳥類ではドバト・キジバト・スズメ・ツバメ・ハシボソガラス・ハシブトガラス・ヒヨドリなど。哺乳類ではホンドタヌキ・アブラコウモリ・ホンシュウジカなどです。

5月・6月ごろには巣立ち前後の雛鳥や,幼い哺乳類の持ち込みが多くなります。 ごくたまにですが、普段あまり救護されない野生鳥獣が救護されることもあります。図鑑でしか見たことがない鳥が運ばれてきた時には、感動そして興奮してしまいます。(鳥にとってはいい迷惑なのでしょうが。)
今年は、シメやマミジロ・ヨシゴイ・アカショウビン・アオバト・チョウゲンボウ・エナガ・モズ(共に巣立ち雛)などが、救護されました。あまり救護されることのない鳥が運ばれてくると、時々困ったことがおこります。種名の判別が簡単にできず、「この鳥は、一体何なんだ!?」という状況があります。特に巣立ち直後の雛では判別が難しく、図鑑を何冊も広げてにらめっこ。最終的には「これっぽい」で仮の種名に落ち着き、大きくなるのを楽しみにしていたこともあります。 ホトトギス?ツツドリ? 胸の横縞を何回も数えました。大きくなったら変わるかも…結局はホトトギスでした。

救護センターでは,野生鳥獣の救護のほかに啓発活動も行っています。センターの入り口に看板を設け、前年度の活動実績を展示したり、「救護センター通信 デデポッポー」という新聞を作って、センターでの出来事をお知らせしています。

また、ケガの状態から野生復帰が困難になった動物を飼育していただく「飼育ボランティア」制度もあります。昨年は9件の動物が,飼育ボランティアさんと巡り会いました。対象動物の写真は,センター入り口で展示しています。救護センターが,自然や動物に目を向けてもらえるきっかけになれば幸いです。動物たちが救護される原因は,人為的な事故が多く,巣立ち雛の誤認救護もまだまだなくならないのが現状です。それを,センターの活動によって減らしていくことができれば,と思います。救護センターが,人と野生動物の間をつなぐ場所になれたらいいと思っています。
                     救護担当 木下 翠