生き物・学び・研究センターブログ
2024年12月27日(金)センターの日誌083 ワニの上側頭窓
生き物・学び・研究センターは、動物園内にある、教育と研究を行う部署です。
このブログでは、動物園にあるけど飼育ではない、センターの業務をご紹介しています。
今年の5月に開催した「小ほ乳類展」。
来園者の方から、展示していたクチヒロカイマンの頭骨について質問をいただきました。
「頭の天辺にある、二つの穴は何ですか?」
普段講演などで使っている骨ですが、この穴については全く盲点でした。
慣れて疑問を抱かなくなっているので、このような質問は非常にありがたく、また勉強になります。
爬虫類に詳しい大学の先生にお聴きしたところ、「上側頭窓」と回答をいただきました。
側頭窓とは、我々ほ乳類や爬虫類を含む「有羊膜類」がもつ、頭骨後方に開く穴です。
頭骨の軽量化のほか、咬筋の収納部となることで咬合力を強化しているとされます。
この側頭窓を2つ持つのが、双弓類という、ワニを含む爬虫類の一群です。
ワニが双弓類に属すること、種により側頭窓の変異が激しいことは、知識としては知っていたのですが、ワニの上の側頭窓がこんな位置にあるとは思いませんでした。
実物から学ぶことは、とても大切ですね。
さて、この3枚目の写真の頭骨。
上2枚の写真の骨とよく似ていますが、上側頭窓が凹みになっていたりと細部に違いが。
実は、3枚目の写真の頭骨は、本物ではありません。
いったい何なのか、何のために作ったのか、次回はそのお話をしたいと思います。
土佐