生き物・学び・研究センターブログ

2024年9月26日(木)(ゴリラのお勉強)新しい挑戦・ゲンタロウの場合

チンパンジーのお勉強で、数字の順番を覚える問題以外の勉強を始めたことをお知らせしました。

(チンパンジーのお勉強)新しい挑戦  (令和6年9月23日 生き物センターブログ)

同じ勉強を、ゴリラのおうちの勉強部屋でも始めています。今回はゲンタロウが初めて体験した日のことをお知らせします。

いつもと違う問題画面から離れて立つゲンタロウ

チンパンジーのときとは違い、ひとりで新しい課題に向き合うことになったゲンタロウは、なかなか警戒心を解いてくれません。

人間の場合なら、新しいことを始める前に、課題の説明をしたり、操作のしかたを教えたりできるのですが、言葉が通じない相手の場合はそうもいきません。そのまま放っておくと、新しい課題の画面が出ているこの部屋、この時間が嫌いになってしまうかもしれません。

まずは、今の状況で「いいこと」が起こることを経験してもらうところから始めます。つまり、新しい問題画面の前に、ごほうびのリンゴやニンジンが転がり出てきて、画面の前で待っていたらそれを食べられるということを覚えてもらいます。

いつものごほうびのリンゴを落としてみた。

これはゴリラに限らず、どんな動物でも同じようにやります。

警戒しながらも、出てきたごほうびは取るゲンタロウ。

画面の前にごほうびが出てこなくなると、部屋にある枝葉に手を伸ばして食べるゲンタロウ。。

辛抱強く、5分、10分、15分と、コロコロとごほうびを出し続けていると、そのうちに画面にさわってくれるようになりました。

そうしたら、もっとごほうびをあげます! たまたまでも、さわってほしい図形に指がふれたら、さらにごほうび! 

画面にさわってごほうびをもらう経験を続けたら、かしこいゲンタロウは、どこをさわれば、より早くごほうびがもらえるのか、理解したようです。そこまで約30分。わずか30分で新しい問題のやり方を理解したのですから、さすがゲンタロウです。

画面の中の文字(アルファベット)に指を触れるゲンタロウ。

なお、ゲンタロウは1回のお勉強時間の中で理解してくれましたが、いつもこんなにうまくいくとは限りません。2回、3回、ひょっとしたら10回かかったかもしれません。それでも、教え方の基本はいっしょです。とにかく、「お勉強」の時間を嫌な時間にさせないこと。そうしていたら、いつかは覚えてくれるのです。

静止画では伝えきれないので、動画を編集して同時に公開しました。YouTubeの京都市動物園公式チャンネルでは、チンパンジーやゴリラたちのお勉強で見られたエピソードを公開しています。この日のエピソードは、こちらでご覧いただけます。

(ゴリラのお勉強)新しい挑戦・ゲンタロウの場合

※京都市動物園では、サルワールド再整備に向けて、クラウドファンディングに挑戦中です。
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田中正之