生き物・学び・研究センターブログ

2024年9月23日(月)(チンパンジーのお勉強)新しい挑戦

チンパンジーの勉強部屋には、15インチのタッチモニターと、コンピュータに接続して使える自動給餌装置が3セットあります。これらの装置は、普段は数字の順番を覚える勉強のために使っていますが、それだけにしか使えないわけではありません。

今回の動画では、京都大学の研究員Gao Jieさんとの共同研究で、数字の勉強とは異なる、新しい課題を始めた初日の様子をお知らせします。

向かって右側のモニターで、新しい問題が出ています。

いつもは黒い画面に白抜きの図形や数字が映るのですが、新しい課題では白い画面に図形が映るようにしてあります。いつもの数字の問題と勘違いしないようにするためですが、チンパンジー、特に大人たちにとっては「いつもと違う」ことが警戒心を呼び起こしたようで、触りにきません。

他の大人たちが触りに来ない中、ただ一人、画面に触っているロジャー。

そんな中で好奇心から近づいてきたのが一番年少のロジャー(6歳)。いつもと違う画面に、何をしたらよいのか分からずに、試行錯誤していましたが、やがて黒字の図形(この課題ではアルファベットを使っています)を触ればよいことに気が付いて、ごほうびを手に入れられるようになりました。

それに気が付いたニイニは、ロジャーが手に入れたごほうびを目当てに、横から手を伸ばして取り上げます。

ごほうびを横取りしにきたニイニ。

しかし、画面には触れようとしません。自分は「いつもの」数字の勉強を続けていました。

ニイニが真ん中のモニターに戻ると、ロジャーが戻ってきて新しい問題を続けます。
ロジャーの母親、ローラが気になって見に来ましたが、画面には触りませんでした。
新しい問題画面の前に誰もいなくなると、ロジャーが戻ってきて、問題を続けます。

さて、ロジャーに続く個体は誰になるでしょうか。

チンパンジーやゴリラの勉強部屋の装置を使った研究の希望は、共同研究として受け付けています。京都市動物園HPの総合案内から、申請してください。 こちらのページ:「調査研究を希望される方へ

YouTubeの京都市動物園公式チャンネルでは、チンパンジーやゴリラたちのお勉強で見られたエピソードを公開しています。この日のエピソードは、こちらでご覧いただけます。

(チンパンジーのお勉強)新しい挑戦

※京都市動物園では、サルワールド再整備に向けて、クラウドファンディングに挑戦中です。
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田中正之