生き物・学び・研究センターブログ

2024年8月31日(土)(チンパンジーのお勉強)勉強よりもごほうびよりも大切なもの

先日、夏の暑さのせいで、チンパンジーたち(とくに大人たち)のやる気が出ない様子をお知らせしました。

(チンパンジーのお勉強)暑い夏にやる気の出ない大人たち (8月28日 生き物・学び・研究センターブログ)

今回は、暑さとは別で、勉強どころではなかったお話。

右からジェームス、タカシ、コイコ、ニイニ。

上の写真は、右のジェームスの顔をグルーミングしているタカシ、タカシの背中をグルーミングしようとしているニイニ。彼らの様子を見に来たコイコです。

しばらくして、コイコは勉強に戻りましたが、ジェームス、タカシ、ニイニの3個体は、グルーミングを続けています。

右から、ジェームス、タカシ、ニイニ、コイコ

実はこの日(8月31日の数日前に、群れで大きな騒ぎがあり、とくにジェームスとタカシが傷を負ったのでした。傷は深刻なものではありませんが、まだ互いの間に緊張感がただよっている感じでした。

頭と背中に傷が見えるジェームス(中央)

その結果、勉強部屋に入ってきても、勉強するよりも、互いの様子が気になって仕方がないようでした。

互いにグルーミングし合うタカシ(左)とジェームス(中央)。ニイニ(中央奥)もそのグルーミングの輪に加わっています。

グルーミングに熱が入ると、勉強どころでないほど、熱中します。

なんのために、こんなに熱心にグルーミングをしているかといえば、一度壊れた互いの関係修復のため、と言えばわかりやすいでしょうか。

とくに、ジェームスは頭や背中や足など、体の複数箇所に傷を負ったので、けっこうショックも大きかったと思います。そのときの状態のまま、ケガをさせられたタカシやニイニと一緒に過ごすのは、ストレスが大きいのでしょう。とくに昔からの仲良しのタカシとの関係を確かめ合うようにグルーミングをしていました。一方のニイニはケガはしなかったものの、一触即発の緊張感の中で過ごすのは、また大きなストレスになります。タカシにとっても同様でしょう。3個体がそれぞれとの関係を確かめ合うように、グルーミングは続くのでした。

コイコ(右)も騒ぎに加わっていたのですが、彼女は我関せずというように勉強を続けていました。

やはり静止画だけではわかりにくいので、この日の場面を動画にまとめました。

YouTubeの京都市動物園公式チャンネルでは、チンパンジーやゴリラたちのお勉強で見られたエピソードを公開しています。この日のエピソードは、こちらでご覧いただけます。

(チンパンジーのお勉強)勉強よりもごほうびよりも大切なもの

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田中正之