生き物・学び・研究センターブログ

2024年6月29日(土)センターの日誌057 骨格標本作り

生き物・学び・研究センターは、動物園内にある、教育と研究を行う部署です。
このブログでは、動物園にあるけど飼育ではない、センターの業務をご紹介しています。

京都市動物園の事務所1階にある解剖室。
死亡した動物を解剖し死因を調べるための部屋ですが、その片隅に寸胴鍋が置いてあります。

これは、骨格標本を作製するための容器。
大まかに軟組織を取り除いた後、この容器に入れて長時間加温し、死体から骨を取り出します。

骨格標本を作る方法は、他に虫に食べさせる方法、薬品で溶かす方法、土に埋める方法などがあります。
煮込む方法は比較的短時間で作ることができる点で優秀なのですが、問題は臭い。
強烈な臭いが漂うので、自宅などで行うことは難しいですし、終わった後は体中に臭いが染みつきます。

煮込んだ後は、ブラシで軟組織を取り除き、水洗いして乾かします。
この後更に、漂白、脱脂を行って完成。
展示室にあるような全身骨格標本(交連骨格標本といいます)を作る場合は、更に組立てを行います。

数年前に作成された、ネコ科の下顎の骨。
若い個体や反芻動物では、下顎の左右の結合が弱く、作成中にこのように分離します。
これを避けたい場合は下顎の先を水面から出して吊るして煮込むなど、様々なテクニックがあります。

動物園では、教育普及を大きな活動目的の一つとしています。
標本も、動物について学んでもらうための、非常に強力で重要な資料。
動物標本を作ることについては様々なご意見があるかと思いますが、皆様のご理解をいただければ幸いです。

土佐