生き物・学び・研究センターブログ
2024年5月21日(火)(チンパンジーのお勉強)ずるいニイニ(その2)
前回、(チンパンジーのお勉強)ずるいニイニ で、勉強部屋でのニイニの横暴な振る舞いについてお知らせしました。今回はその続編です。
チンパンジーの勉強部屋です。ニイニがひとりで勉強中のところにロジャーが入ってきました。
ニイニと離れたタッチモニターで勉強を始めようとしたので、急いでロジャー用の問題をセット。ロジャーも勉強を開始します。
兄弟2人で仲良くお勉強、と思いきや、ロジャーが問題に正解すると、その音を聞きつけたニイニが寄ってきて、正解のごほうびを横取りしてしまいました。
その後、元の自分の場所に戻って自分の問題(1から16まで)をして、またごほうびを手に入れます。
場所を変えようと真ん中のモニターにふれたロジャー。しかしそこはニイニ用の1から16までの問題がセットしてありました。
困っているところを、ニイニに場所ごと奪われるロジャー。
気を取り直して、再挑戦するロジャー。
すると、またもニイニが割り込んできました。問題の途中に割り込んでロジャーの邪魔をすることもしばしば。
またまた、正解したと思ったら、ニイニがごほうびを横取りに来ます。
ロジャーはそのたびに気を取り直して問題に挑戦しますが、ニイニの割込み、ごほうびの横取りは続きます。ロジャーはやがてやる気を失い、部屋を出て行ってしまいました。一方のニイニは、3台とも自分のもののようなふるまいです。こんな状況に、抗議をすることもなく、ニイニの様子をうかがうロジャー。立場の弱い者は、どうすることもできないのでしょうか。
YouTubeの京都市動物園公式チャンネルでは、チンパンジーやゴリラたちのお勉強で見られたエピソードを公開しています。この日のエピソードは、こちらでご覧いただけます。
前回もそうでしたが、チンパンジーの勉強部屋では、人間目線で見ていると、あまりにも弱い者がしいたげられているように見えて、同情してしまうことがあります。しかし、弱い者を助けてあげようにも、勉強部屋の外からできることは限られています。また、無理に弱い者の味方をしても、強い方が怒って暴れて、結果的に弱い者にとばっちりがいくこともあるので、よほどのことがない限り、チンパンジー社会のことはチンパンジーに任せるしかないと考えています。
田中正之