生き物・学び・研究センターブログ
2024年2月3日(土)センターの日誌036 全身骨格標本の点検
生き物・学び・研究センターは、動物園内にある、教育と研究を行う部署です。
このブログでは、動物園にあるけど飼育ではない、センターの業務をご紹介しています。
以前、キリンの骨格標本組立実習を開催していることをご紹介しました。
実際に動物の骨に触ることで、動物の存在を実感し、更に骨格の成り立ち、機能、進化や特性について学ぶことができる、教育効果の高い実習だと考えています。
実習では、その大きさから破損や紛失の可能性が少ないキリンの骨を使用しています。
一方、京都市動物園では、それ以外にも全身骨格標本を保管しています。
これらは研究者の方への公開や、教育普及イベントでの展示などに活用しています。
この冬、保管している骨格標本を組み立てて、状態を確認しました。
下の写真はグレビーシマウマ。
右後肢の太い第3指から、奇蹄目であることがわかります。
指の本数を減らし足を長くし、速く走ることができるよう進化した生き物です。
ニシゴリラのオスの骨格標本。
特に頭骨の真ん中を走る突起(矢状稜)の発達が顕著です。
噛むための筋肉が付着する部分であり、咬合力が非常に強いことが推定できます。
これは、かつて飼育していたダチョウの骨格。
ダチョウは平胸類という仲間に属し、鳥類で特徴的な胸骨中央の突起(竜骨突起)が見られません。
この突起は、飛翔のために必要な筋肉の付着部として機能するのですが、飛ばない鳥として進化したダチョウには必要のないものだったため、退化していきました。
大きさに加え、このような構造の違いもあり、特に胸部の組立に苦労しました。
最後に、この写真は、何の動物の骨格標本でしょう。
正解はアメリカバク。
アメリカバクは奇蹄目なのに、右前足の指が4本(偶数)じゃないかと考えた方、鋭い。
蹄の数が偶数なら、偶蹄目に分類されるはずですよね。
実は、奇蹄目、偶蹄目という分類は、最も荷重がかかる指が奇数が偶数かで分けられます。
アメリカバクの場合は第3指に荷重をかけるため、奇蹄目とするのが正解なのです。
遺伝的にはサイ、そしてウマに近い仲間なんですね。
保存状態に問題がなかったため、全て再度収納しました。
いつか、皆様に見ていただける機会も作れればと思っています。
土佐