生き物・学び・研究センターブログ
2023年6月22日(木)動物園で生物多様性保全の大切さを伝えよう
生物多様性という言葉、お聞きになったことがあるでしょうか? 最近よく使われるので、耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。英語のBiodiversityの訳語で、生物多様性保全に関する国際条約、生物多様性条約(1992年6月にブラジルのリオデジャネイロで開催された 国連環境開発会議(地球サミット)で、条約に加盟するための署名が開始され1993年12月29日に発効。)の頃から普及しだした用語だそうです。
生物多様性条約について詳しくは、例えば外務省のホームページを参照ください。(生物多様性条約 外務省のウェブサイトへのリンク) 生物多様性については、年々、その重要性が高まっており、京都市でも「京都市生物多様性プラン(2021-2030)」を策定し、京都市として目指すこと、取組などを紹介しています。(「京都市生物多様性プラン(2021-2030)」については、京都市情報館のウェブページをご覧ください。全文がダウンロードできます。)
京都市動物園でも、生物多様性の大切さ伝え、京都市が推進する「京都市生物多様性プラン(2021-2030)」を伝える取組をおこなってきました。今年も、4月の「野生動物学のすすめ」において、シンポジウム「生物多様性って何? どうして大事なのかみんなで考えよう」を開催しました。
このようなテーマにしたのは、「生物多様性」って聞いたことはあるけど、ではどういうことかを説明できる人がいるだろうか?というところからです。(この文を書いている私も、まだちゃんと理解できているか自信がありません。) だから、この分野の専門家であり、「京都市生物多様性プラン(2021-2030)」を策定した京都市環境審議会生物多様性保全検討部会の座長を務めていただいた、京都大学名誉教授の湯本貴和さんに、みんなで聞いてみようという趣旨で行いました。
シンポジウムでは、湯本さんに講演者兼、パネルディスカッションの取りまとめ役をお願いして、会場の皆さんと一緒に考えました。その様子は生き物・学び・研究センターブログでもお知らせしました。「(開園120周年記念)野生動物学のすすめ2023を開催しました(1日目その2)」
さて、この「生物多様性の大切さ」ですが、やっぱりわかりやすく伝えるのは簡単ではないので、今年いっぱいかけて、他の人たちと一緒にみんなで考えようとしています。例えば、京都市動物園では、京都産業大学のPBL系科目に協力しているのですが(生き物・学び・研究センター 教育普及活動のページ)、今年の学生に出した課題が、「生物多様性って何?どうして大事なの!?-生物多様性の大切さを知り、わかりやすく伝えてほしい-」というものです。(京都産業大学HP 産学協働教育科目群(PBL系)のページを参照。)
ところで、今年の4月から、「きょうと生物多様性センター」が設立されたのをご存じでしょうか。京都府と京都市が、生物多様性保全に向けた取組の一層の促進を図るため協調してを設置した組織です。(きょうと生物多様性センターHP 「生物多様性センターについて」より)
その拠点が3か所にあるのですが、そのうちの市民向けオフィスである、京都市左京総合庁舎にあるオフィスを訪問してきました。京産大の学習の機会と、PBLの課題への協力のお願いのためです。
さて、いざ調べ出したら、次から次へと学ぶべきことがわかってきて、思っていたよりずっと大変な課題だったと自覚しました。そのため、自分でも勉強を始め、先日は別件の相談もあって「きょうと生物多様性センター」を訪ねてきました。その際に、5月には会えなかった、センターのスタッフの方ともお会いして、現在のお仕事についてもお話しすることができました。そこでまた改めて、「生物多様性」の扱う情報の幅広さを実感しました。
さてさて、「きょうと生物多様性センター」ですが、いよいよキックオフ・シンポジウムの予定が決まりました。
きょうと生物多様センター設立記念シンポジウムについて(同センターのHPより)
日時は、令和5年7月21日(金曜日) 午後1時~午後4時。
開場は、京都府立京都学・歴彩館 大ホールです。オンラインでも参加できるハイブリッド方式だそうです。
基調講演として、同センターの名誉センター長であり、京都市動物園の名誉園長でもある山極壽一さんが
「人類の進化や文化と生物多様性の関わり~暮らしの豊かさを支えるものとは~」
という演題でお話しされます。
また、同センターのセンター長であり、4月の「野生動物学のすすめ」でのシンポジウムでも取りまとめ役をしていただいた、湯本貴和さんが、後半のパネルディスカッションの進行を務められるそうです。
参加するには、事前に申し込みが必要です。HPの案内をよく読んで、申し込んでください。
キックオフ・シンポジウムには、「きょうと☆いのちかがやく博物館」で連携する仲間として、参加したいと思います。
田中正之