生き物・学び・研究センターブログ

2023年4月18日(火)(開園120周年記念)野生動物学のすすめ2023を開催しました(2日目)

野生動物学のすすめ、2日目には講演会を行いました。

午前中には、「野生動物保全の現場に関わる人から話を聞いてみよう」ということで、ブース出展をしていただいたNPOの皆さんに活動紹介をしていただきました。
公益財団法人日本モンキーセンター、認定NPO法人ボルネオ保全トラスト・ジャパン、特定NPO法人市民ZOOネットワーク、特定NPO法人日本オランウータンリサーチセンター、特定NPO法人ビーリア(ボノボ)保護支援会、マハレ野生動物保護協会の方々に、それぞれの活動や対象の動物について紹介していただきました。

NPOのブース出展の様子
活動紹介の様子

午後には「野生動物の暮らしとヒトの暮らし~森と海での共存の形~」ということで、海生哺乳類の研究をされている三谷曜子さん(京都大学野生動物研究センター・教授)と野生のニシゴリラの研究をされている田村大也さん(京都大学理学研究科・助教)にお話しいただきました。

三谷さんからは、縄文時代から続く海生哺乳類とヒトの関わりについてご紹介いただきました。
ラッコやオットセイやイルカやクジラなど様々な海生哺乳類を持続的に利用していた縄文時代から、乱獲の時代を経て、共存を考える現代へと移っていく壮大なお話でした。
わたしたちヒトの生活が海の生き物に与える影響をはかるには、数十年単位の時間がかかるということ、影響はなかなか見えづらいものが多いこと…そんな中で海に暮らす動物とその周辺で暮らす人々の生活の共存を考えることが課題です。壮大なお話引き込まれながら、わたしたち日本人は海の生き物に頼った生活をする中で、間接的に様々な影響を与えている可能性について改めて意識するものでした。

三谷曜子さん

田村さんからは、京都市動物園でも暮らすニシゴリラの野生での調査についてお話いただきました。
ガボン共和国のムカラバという場所で、ニシゴリラの長期にわたる調査が行われています。
田村さんが野生ニシゴリラの調査を行おうとした矢先に、対象としてた群れのシルバーバックが死亡するという悲しい出来事が…。そこから群れの動乱の中で新たに見つけたおとなオスとこどもの関係に関する知見についてお話いただきました。ニシゴリラをよく見ているわたしたちにとっても、意外なお話で気になることがたくさんでした。いつか田村さんが論文発表される日が楽しみです。

田村大也さん

ご講演いただいたみなさま、ご参加くださった来園者のみなさま、どうもありがとうございました!

山梨 (生き物・学び・研究センター)