生き物・学び・研究センターブログ

2022年11月5日(土)3年ぶり、ラオスから友来たる。

京都市動物園では、ラオスから4頭のゾウを寄贈いただいて以来、ゾウの健康状態や飼育状況、繁殖に向けた取り組みを見てもらうために、ラオスから毎年代表団を招聘してきました。

これは、ラオス農林省森林局と覚書を交わした「ゾウの繁殖プロジェクト」の一環でおこなってきたものです。(詳しくは、京都市動物園HP内の「ゾウの繁殖プロジェクト」のページをご覧ください。

ところが、2020年の新型コロナウィルス感染症の影響で2020年度、2021年度はラオスからの代表団の招聘ができませんでした。そして、コロナ禍の状況も収まり、入国制限も緩和された10月の終わりに、ラオスから3年ぶりに3名の代表団をお迎えすることができました。代表団は、

ペッヴィサイ・スーヴィライ サイニャブリー県副知事(サイニャブリー県はゾウたちのふるさとです)
ソムヴァン・ピンマヴォン 農林省森林局次長(ゾウを含めたラオスの野生動物を管轄する部署)
スーリパン・コーネカンマ 首相府司法行政部門長代理
の3名です。

ラオス代表団(後列中央の3名)を正面エントランスで歓迎しました。

ゾウを見ながら、現在の状況についての説明しました。

この機会に、京都、大阪、神戸にいるラオス人留学生たちも集まってくれました。

ゾウ舎屋内の施設も視察。餌の内容やトレーニングの様子なども見てもらいました。

そして、午後はラオスのゾウのことを、ラオス人から聞いてみたいということで講演会を企画しました。

講演会 ゾウのふる里~ラオス・サイニャブリー~」(イベントのページへのリンクです)

代表団の代表としてペッピサイ副知事にご挨拶をしていただいた後、講演はソムヴァン局次長にしていただきました。(ラオスでは、ファーストネームで呼び合うのが通例だそうなので、これ以降も人名はファーストネームで表します。)

講演では、ラオスにおいてゾウと人間との関わりが深いこと、ラオスを象徴する動物がゾウであること。その大事なゾウが近年、急減に数を減らしているため、政府がさまざまな法制度を整備して野生のゾウが暮らす森を保護したり、飼育下にいるゾウの状況を調べていることをお話しいただきました。

ソムヴァンさんは、前職でラオス国立大学林学部の先生でもあり、研究論文も発表されています。今回の招聘では、京都大学野生動物研究センター(WRC)で、国際セミナーとして、最近発表された研究論文の内容もお話しいただきました。(京都大学野生動物研究センターのHPはこちら。セミナーの情報、要旨も掲載されています)

セミナーは、WRCのセミナー室とオンラインのハイブリッド形式で行われ、合わせて30名以上の参加者がありました。

ラオスでは教育施設として、植物園の計画もあるそうで、京都市動物園と連携する京都府立植物園も見学しました。

そして、ラオスからの公式代表団として京都市役所を表敬訪問され、門川市長と懇談されました。

3年ぶりに再開できた人材交流を機に、さらにラオスと京都との絆が深まることを祈念します。

田中正之