生き物・学び・研究センターブログ
2022年4月12日(火)チンパンジーの勉強の仕方を変更
京都市動物園のSNSでお知らせしていますが,チンパンジーのニイニが思春期のむずかしいお年頃になっています。それ以前から,朝一番の勉強の時間のはじめには,ジェームスが自分の威力を見せつけようと大暴れすることがよくあったのですが,それにニイニも乗っかってさらに騒ぎが大きくなることもありました。
それだけならば,男二人がうるさいだけなのですが,その騒ぎの中で,往々にして,一番立場の弱いローラやロジャーがとばっちりを食ってケガをすることがあるので,勉強の仕方を変更してみています。
以前は,チンパンジーたちの居室の隣にある勉強部屋の扉を開けて,勉強部屋に出入りできるようにするだけだったのですが,新しいやり方では,チンパンジーたちをいったん屋外グラウンドに出して,その後に勉強部屋につながった居室を通って勉強部屋に入れるようにしました。(下の図を参照ください)
(勉強時間中にチンパンジーが入れるエリア。 )
新しいやり方を数回経験した日の勉強時間の様子です。
チンパンジーたちが屋外グラウンドに出て,2分後にニイニとロジャーが,勉強部屋に入ってきました。
そして勉強開始。でも,1,2問ですぐ出ていってしまいます。
その後も落ち着きなく,出たり入ったりをくり返しました。
20分を過ぎるころ,屋外グラウンドで朝ごはんをあらかた食べてしまった大人たちが入ってきます。
右から,ニイニ,真ん中はコイコ,左のモニターの前にいるのはジェームス。手前に映っているのは,タカシ。画面には入っていませんが,下で転がっているロジャーと遊んでいます。
ニイニが席を立って,隣の部屋に移ります。
(ニイニは終始落ち着きがなく,まとまった時間,問題に向かうことがありません。)
空いた席には,ロジャーがやってきて勉強開始。(画面の問題はニイニ用で難しすぎるので,ロジャー用の問題に変えました。
ニイニの勉強時間が減った分,ロジャーにチャンスが増えました。
みんな出ていっても,勉強を続けるロジャー。
でも,「みんなのロジャー」は,ニイニやタカシなどから,遊びに誘われて,落ち着いで勉強することはできません。(本人はそれで楽しそうなので,かわいそうとは思いません。)
新しいやり方になっても,大人たちは相変わらずマイペースで勉強しています。
ニイニが勉強する時間は減りましたが,もともと落ち着きがなくなっているからかもしれません。
ロジャーは少しだけ勉強する機会が増えたような気がするので,今,急いでデータを集計しているところです。
田中正之