生き物・学び・研究センターブログ

2021年11月15日(月)チンパンジーは映像の森を楽しむか?

KYOTO STEAM-世界文化交流祭-の一環として行った研究の結果を報告した論文が出版されました!
タイトルは日本語だと「チンパンジーは映像の森を楽しむか?」です。
日本語の要旨はこちら

アーティストの人長果月さんらとチンパンジーが映像の近くで動いたり,ブイを動かしたりすることで,変化する映像を屋内運動場に設置しました。結果として,ニイニとロジャーを中心にチンパンジーたちが食べ物などの報酬がなくても,映像を変化させるために何度も訪れることがわかりました。また,時にプレイフェイスという,チンパンジーが遊びの時などに表出する表情を見せるなど,特に若いチンパンジーたちにとっては,ポジティブな感情も引き出すものであることもわかりました。
ニイニやロジャーたちの様子をまとめた動画はこちら

初めての取組で試行錯誤の日々でしたが,好奇心旺盛なチンパンジーたちの暮らしに変化をもたらす手段としての可能性を示すことができました。
こちらの続きのプロジェクトは継続中で,12月には新たな取組を公開で行います。詳細はこちら
ご興味のある方はぜひお越しください。

なお,今回はアメリカの霊長類学会発行の学術誌の中の動物園で行われている霊長類に関する研究についての特集号(アメリカのリンカーンパーク動物園の研究者が主催)に掲載されました。他にも世界の動物園で行われている霊長類研究がぞくぞくと掲載されるはずです。動物園所属の研究者は日本では少ないですが世界にはたくさんいます。今回はそうしたご縁も含む,たくさんの方々(ヒト・チンパンジー)とのつながりで成り立った研究論文となりました。

山梨裕美