生き物・学び・研究センターブログ

2021年10月4日(月)「いきもの広場@植物園」実施しました。

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10月2日,本年度2回目となる4園館連携「きょうと☆いのちかがやく博物館」のワークショップを植物園で開催しました。

京都府に出されていた「緊急事態宣言」は,9月30日で解除され,京都市動物園,京都府立植物園,京都市青少年科学センターは10月1日より再開園・開館しました。
月末から日本に近づいていた台風も,京都はそれてくれたので,当日は朝から快晴となりました。

一昨年まで,府立植物園での「いきもの広場」は,植物園の大芝生広場で行っていましたが(昨年はコロナ禍の中で中止),今年からスタイルを変えて,園内を巡る体験型ワークショップ形式となりました。


当日は,11組25人の親子が参加してくれました。

最初は園内の「植物生態園」ゾーンの中でクイズラリーです。
親子が一組ずつ,30秒おきにスタート。園路にクイズポイントがあり,そこに書かれた問題の答えをワークシートに記入して,戻ってきます。
問題は全部で6問。植物園スタッフも,どれくらいできるかと不安がっていましたが,参加した皆さんはやる気満々で,結果は全員,とてもよくできていました(^^)

クイズラリーの後は,園内観察です。ここで,特別ゲストの,京都府立大学の福井亘先生に登場いただきました。
福井先生は,植物園のお隣の府立大から,よく植物園の鳥の調査をしに来られていて,とても鳥に詳しいので,園内の野鳥の解説をしていただきました。


緑豊かな植物園の中には,よく見れば,よく耳をすませば,さまざまな野鳥がいることがわかります。
園内を歩きながら,ときおり立ち止まって,野鳥の解説をしていただきました。


ヤマガラのパネル。イラストは福井先生によるもの。

そして,園内を歩いて行った先に,ありました! 今回の2つめのチェックポイント。


動物と植物の関係をモチーフにして,嵯峨美術大学・嵯峨美術短期大学の池田泰子先生に制作していただきました。
ゾウやクマ,リス,その奥にはシカのパネルが。
これらは,ゾウの餌として与えているアラカシ,クマやリスが好んでたべるドングリ(ブナ科の木の実)と,動物園の動物とのつながりを説明しました。実際に,植物園から,剪定したアラカシやシラカシの枝をもらったこともありました。
そして,その奥にいるシカは,今全国の森で食害を起こしている動物です。
写真ではわかりませんが,シカの手前にはシカの侵入を防ぐ防鹿柵も設置してありました。

そして,最後のチェックポイントは,フジバカマの植えられた場所で,科学センターの先生たちが待っていてくれました。
科学センターから持ってきていただいた,アサギマダラの標本を見せながらフジバカマとの関係を解説。


旅をする蝶と呼ばれるアサギマダラは,オスがフジバカマなどの植物に含まれる「ピロリジジンアルカロイド」を取り込んで,フェロモンを分泌するのだとか。アサギマダラの繁殖には欠かせない植物だということがわかりました。
ちょうどこの日は,アサギマダラがフジバカマのところにやってきていて,植物園にはカメラを構えた人が何人もいました。

春の「野生動物学のすすめ@動物園」に続いて,秋の「いきもの広場@植物園」も,こうして無事に実施することができました。あらためて,参加してくれる皆さんと顔を直接見ながらお話しできることの楽しさを感じることができました。4園館連携「きょうと☆いのちかがやく博物館」は,今後も人数を絞りながらになりますが,対面での体験型ワークショップを大事にしながら続けていきたいと思います。
次回の取り組みが決まりましたら,またお知らせしますので,お楽しみに。


田中正之