生き物・学び・研究センターブログ

2021年9月14日(火)気まぐれなタカシ 久しぶりに勉強する

いつものチンパンジーの勉強部屋です。

右から,ニイニ,ジェームス,タカシ

そう,めずらしくタカシが勉強に参加したので,その様子をお話しします。

時間のはじめは,いつものようにゴロゴロするタカシでした。


大あくび。やる気ゼロ。

この日はコイコのやる気がなくなり,隣の部屋に出ていきました。

すると,コイコの残した問題に向かい,続きを始めました。
タカシはコイコよりもずっとよくできるので,コイコの問題はとっても簡単なはず。
いつもは,問題を切り替えてタカシ用の問題(1から16までの数字の順番を答える問題)にすると,すぐにやめてしまうのですが,この日は気が向いたのか,やめずに続けました。
戻ってきたけど,タカシがいるので勉強を続けられないコイコが奥で手持ち無沙汰。
そして,最近では本当にめずらしく,問題の最後まで続けたのです。

成績は,40問中18問正解。
たいしてよくはありませんが,これより前にタカシが成績が出るまで問題をやった日を探すと,6月27日までさかのぼらないといけませんでした。
そのときの成績は,40問中21問。ほとんど変わりません。
ようするに,勉強ができなくなったわけではなく,この間は,やる気がなかっただけのようです。

タカシは,できるだけ楽して,できるだけいい思いをしよう(たとえば,いっぱいごほうびをもらおう)という性格です。

難しくいうと,「コストの最小化,利益の最大化」。
とってもシンプルで,とっても合理的な行動戦略だと思います。というよりも,すべての生き物に共通する戦略かも。
とくに,タカシを見ていると,コストの最小化が大原則のように見えます。
いっぱい努力して大きな利益を得ようというのではなく,できるだけ楽をして(できれば何にもせずに),得だけ取ろうというのです。大変だったら,別にごほうびをもらわなくてもいいや,という態度で一貫しています。
もともと勉強がよくできたので,どんどん順番のわかる数字が増えていき,ゴリラたちも含めて,京都市動物園の中で一番難しい問題が出されるタカシ。そこまで頭を使ってリンゴひとかけらもらってもなぁ,,,ということなのかもしれません。

ということで,「やればできる」チンパンジー,タカシなのですが,ふだんは「やりたくないのでしない」チンパンジー,タカシです。勉強する気にならないだけならいいのですが,他のチンパンジーが勉強する間,ヒマになってしまうので,からかいやすい3歳のロジャーの邪魔をして時間をつぶしているのでしょう。ロジャーも勉強よりも身体をつかった遊びの方に魅力を感じてしまうので,ロジャーの勉強は進みません。。。


田中正之

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