生き物・学び・研究センターブログ
2021年3月5日(金)2/28 動物園DEサイエンストークを開催しました
2021年2月28日に動物園DEサイエンストーク「シャチとヒトが共に暮らす海に」を行いました。
今回は,北海道大学北方生物圏フィールド科学センターの三谷曜子さんにZoomを通じてご講演いただきました。
三谷さんは函館を拠点に,南極から北極までさまざまなフィールドで海棲哺乳類の調査を行っている研究者です。
海の生態系の頂点に位置するシャチは,海の環境を知る上でも重要な指標種となっていて,世界各国で彼らが暮らす水域や食性,群れ構成などの研究が進んでいます。しかし,日本の沿岸での継続的な調査は比較的最近はじめられました。
三谷さんら調査チームは,シャチが多数発見されている北海道沿岸で「シャチはどこに来るのか?」「どんな個体が来てどんな群れ構成なのか?」「何を食べているのか?」「利用している環境の特徴とは?」といった北海道のシャチの生態や環境を明らかにするための調査をつづけています!
個体識別写真の撮影や鳴き声の録音,衛星発信器での追跡を通じて,北海道沿岸にも魚やイカを中心に食べるシャチとクジラなどを食べるシャチが生息していること,採餌,移動,休息のほか複数のグループが集合したり,予想よりも深く潜る行動がみられること,他海域のシャチとの共通点や違い・・などがわかってきています。
あたらしい発見とあたらしい謎を同時に生みだす海の不思議と奥深さ,シャチの生態と魅力を発信してくれている三谷さんたちの,今後のさらなる調査研究がとても楽しみです。
そして最後に,シャチをはじめとした海棲哺乳類と漁業との関係,有害物質や浮遊プラスチックによる健康被害の現状に触れ,シャチの暮らす海とわたしたちが暮らす環境はつながっていて境界はないこと,共に生きられる海をめざして,わたしたちヒトが考え,行動できることについて問いかけがありました。
今回は,動物園で海をテーマとさせていただきましたが,多くの方に関心を寄せていただき本当に嬉しく感じました。
ご講演いただいた三谷さん,参加者のみなさんありがとうございました!
本イベントの実施にあたっては,新型コロナウィルス感染症予防のため【感染防止の3つの基本】(1)身体的距離の確保(2)マスクの着用(3)手洗いと併せて,入室時の体温測定及び手指消毒を行っていただきました。
生き物・学び・研究センター 瀬古