生き物・学び・研究センターブログ

2020年9月13日(日)苦いものはきらい?

先週,小学校と動物園をつないで,獣医さんのお仕事についてのオンライン授業を行いました。

~獣医さんのお仕事風景~


そこで,国語科「どうぶつ園のじゅうい」に登場するニホンザルへの投薬について,小学2年生の生徒さんから「本当にニホンザルは苦いものが大きらいですか」というご質問をいただいたのでお答えします↓

「本当にニホンザルは苦いものが大きらいですか」とふしぎに思(おも)ってくれたように,苦味(にがみ)にも色々(いろいろ)なしゅるいがあるので,きらいではない苦味もあるようです。

まず,植物(しょくぶつ)の側(がわ)に立(た)ってみると,実(み)をつける植物たちは赤(あか)ちゃんである種(たね)をいちばん良いタイミングで動物(どうぶつ)たちにはこんでもらいたいので,まだ十分(じゅうぶん)に育(そだ)っていないときはまわりの実も苦くてなかなか食べられないようになっていたり,種をはこんでもらいたいタイミングにだけは実が甘(あま)くおいしくなっていたりしますね。そのほかの食べてほしくない部分(ぶぶん)には苦味を感(かん)じる物質(ぶっしつ)がふくまれています。

動物の側に立ってみると,苦味を感じることは,くさっていたり毒(どく)をもっていたりするきけんな食べ物をさけるために役立(やくだ)っています。
そうしたからだにとってきけんな苦味とはべつに,わたしたち人間(にんげん)にとって苦いとかんじる多(おお)くの植物の葉(は)や茎(くき),枝(えだ)などを野生(やせい)動物たちは平気(へいき)でもりもり食べていたりします。
ニホンザルたちはとくにそうした苦味を感じにくい舌(した)や腸管(ちょうかん)をもっていて,強(つよ)い苦味にもたえられるようです。【ただし,苦味の成分(せいぶん)はたくさんのしゅるいがあり,苦味を感じる体(からだ)の仕組(しく)みもたくさんのしゅるいがあるので,まだまだ研究(けんきゅう)がおこなわれています!】
また,わたしたち人間でも,苦い食べ物が好きなひとやきらいなひとなど,一人ひとりの味の感じ方はさまざまです。そのようなちがいは野生動物たちでもみられるようです。

ニホンザルがなかなかくすりをのんでくれないのは,くすりの味が植物とはちがうしゅるいの苦さだったからか,いつもとちがうふんいきをかんじてけいかいしてしまったからかなど理由(りゆう)はいろいろあるとおもいます。いつもは好(す)きな食べ物でも,場所(ばしょ)や状況(じょうきょう)がかわると一時的(いちじてき)に食べられなくなったりもします。
京都市動物園でも,動物たちにおくすりを飲んでもらう必要(ひつよう)のあるときには,食べ物にまぜたり,細(こま)かくすりつぶしたりといろいろな工夫(くふう)をしています。

これからも色々な「ふしぎ」「なぜ?」をみつけて,
楽しく勉強をがんばってください。

京都市動物園の教育プログラムでは写真や映像を活用して「動物園の仕事」をはじめとした授業を行っています。
また,京都市動物園HPの飼育員ブログ「獣医・治療」のカテゴリーを選択すると,獣医さんたちのブログがご覧いただけます!

生き物・学び・研究センター 瀬古