生き物・学び・研究センターブログ

2020年4月20日(月)休園中のゴリラのお勉強

京都市動物園でおこなっている「お勉強」は,休園中でも行っています。
これは,単調になりがちな動物園での生活に変化を与えることと,高い知的能力をもつゴリラやチンパンジーたちにその能力を発揮する機会を提供する意味からです。

4月7日以降では,チンパンジーたちのお勉強の話題ばかり取り上げてきましたが,この間,ゴリラたちも「お勉強」に取り組んでいました。
この日は,ゴリラの4人家族がみんな「勉強部屋」に来てくれたので,紹介します。

最初にやってきたのはゲンタロウ。
画面に出てくる1から14までの14個の数字を,順番に触って答える問題。正しい順番でさわれば数字が消えていって,すべての数字を消せば「せいかい(正解)」と画面に表示され,ごほうびのリンゴ片がもらえます。


ゲンタロウはものすごい速さでやるのですが,ミスタッチが多いのか,ちゃんと数字が消えたのを確認せずに次の数字をさわりにいくからなのか,ミスが多く,半分くらいしか正解しません。

続いて,モモタロウがやってきました。
大きなモモタロウがやってくると,ゲンタロウはすごすごと場所を譲ります。


そして,モモタロウが勉強していると,ゲンタロウの弟,1歳のキンタロウが,興味をもってのぞきにくるようになりました。

モモタロウは,ゲンタロウほど学習が進んでいなくて,1から6まで,6個の数字の順番を覚える勉強をしているのですが,やる気があまり続きません。(だから,学習の伸びもよくないのですが)


この日も,しばらくやると,気がすんだのか,隣の部屋に食事の続きをしにいきました。
ゴリラのお勉強は,夕食の時間中にやっています。

さて,ひとり残ったキンタロウ。


最近,お父さんのモモタロウの真似をしてか,画面をばんばん叩く行動は見られていました。
でも,このときは,ちゃんと人差し指を伸ばして,〇(マル)をさわろうとしていました。

そして数字が出てきました。

ゲンタロウに比べたら簡単なモモタロウの問題ですが,キンタロウにはわかりません。
それよりも,画面が変わったことに興奮して,画面をバンバン叩いていました。

そうこうしているうちに,お母さんのゲンキまでやってきました。


キンタロウを出産した後は,子育てに忙しくて,勉強どころではないようで,ほとんど部屋に入ってくることもなかったのですが,以前に学習した問題の手続きは忘れていませんでした。
(でも,モモタロウの問題も,元気にはむずかしすぎ,全然できません。)
時間があれば,ゲンキ用の問題に切り替えて,久しぶりの勉強時間にしてあげられたのですが,ゲンキがやってきたのが,すでに勉強時間が終わってしまってから。
残念ですが,次の機会を待つことにしました。

こんな具合に,夕食の時間に,来てくれるゴリラたちを相手に「お勉強」をしています。
でも,日によっては,部屋に来たはいいけど,ずっと食事中,なんて日もあります。


それはそれでOK。
「お勉強」はけっして強制ではありません。本人がやりたくなったら,やってくれたらよいのです。


ただ,こんな風にモモタロウが部屋の真ん中に居座ってたら,勉強したい他のゴリラたちが入ってこれないんですけど・・・
(これは,おそらく,他のゴリラたち(とくにゲンタロウ)に勉強をさせないようにするための,モモタロウの意地悪だと思います。)


田中正之