生き物・学び・研究センターブログ
2017年9月24日(日)夜に生きる小さいサルのお話②~色のお話~
最近ふたたびロリスとガラゴ(とハリネズミたち)の展示場のライトを赤くしました。
来園者のみなさんからすると,前より暗いと感じるようになったかもしれません。
が,夜の森に生きる彼らにとっては,暗いほうが活動しやすいのです。
大きな目にはタペタムという構造があり,受容体がより多くの光が吸収できるようになっていて,暗いところでも視力が高まるようになっています。なので,暗い夜でもすいすい動くことができます。
ただし,真っ暗にすると,昼に生きるわたしたち人間には全然見えなくなってしまいます。
そこで,赤いセロファンを貼ることで,ライトを赤くしてあります。
ロリスやガラゴたちにとって,赤い色は見えづらい色です。
なぜなら,わたしたちひとと違って,赤色の領域の光を認識する細胞を持っていないからです。
これまでのいくつかの研究から,ロリス類の活動は野生でも飼育下でも明るさに大きな影響を受けることが知られていて,明るい環境では,動きがにぶくなってしまうことがわかっています。
なので,彼らが活動しやすい環境で,みなさんにその姿を見ていただければと思っています。
運が良ければ,ロリスが前よりシャキシャキ動いている姿が見られるかもしれません…(ロリスたち,スローでないことも結構多いです。^^)
山梨 裕美