生き物・学び・研究センターブログ
2017年8月5日(土)博物館実習で環境エンリッチメントに挑戦!
7月末から8月にかけて博物館実習があります。前半の2週間には,さまざまな大学から6名の実習生が動物園に来てくれました。
今回センターでは,実習の一環として「エンリッチメント実習」を取り入れてみました。環境エンリッチメントとは,動物福祉の考えに基づき,飼育下の動物たちの飼育環境を改善・配慮する工夫のことです。
前半の実習生には,アカゲザルの運動場に消防ホースのハンモックを取り付けるエンリッチメントをしてもらいました。
こちらがアカゲザルたちが暮らす「サル島」。もうひとつ39歳のおばあちゃん,イソコたちがいる「老猿ホーム」にもハンモックを取り付けます。
こちらが取り付けるハンモックです。実習生にはハンモック作りからしてもらいました。
2チームに分かれ,黙々と作業をする実習生たち。
それぞれ2つ作ってもらい,見本をあわせて5つのハンモックができました!
老猿ホームには2つ取り付けました。老齢のサルたちが落ちても怪我をしないように,低めに設置しました。
丈夫さも確認。人が乗っても大丈夫!
サル島には3つ取り付けました。サルたちが見守る中,サルたちが絡まったり怪我をしないためにはどう取り付けたらいいかなどを考えながら,実習生も一緒に取り付け作業に加わりました。
さて,サルたちはどんな反応を見せるのでしょうか??実習生たちもわくわくしながら取り付けてからの様子を観察しました。
まずは,触る,引っ張る,かじるなどの行動が見られました。新規物に対する行動としてはよくある行動です。
すると今度は,つり革のように座るときの支えにする行動が出始めました。取り付け後すぐの観察ではハンモックとして使う行動は見られませんでした。
しかし,エンリッチメントは取り付けて終わりではなく,本当にその動物たちの福祉に役立っているかを確かめなければなりません。それもきちんと学んでもらえるよう,取り付け後2日間サルたちの観察も行いました。
暑いので,サル島・老猿ホームあわせて各日1時間ほどしか観察できませんでしたが,その間サルたちはハンモックを触りはするものの,乗って休憩したり遊んだりはしませんでした。「日に当たる場所につけたからかな?」「時間帯によっては乗るのかな?」など観察結果を踏まえて議論もしました。
そして2日目の観察,なにかを地面にこすり付ける不思議な動きをするサルがいました。よくよく観察してみると,なんとボルトを持っていました!ほかにもボルトを留めていたナットを持っているサルもいました。
すぐにどこから取れたものか確認したところ,ハンモックの一部を留めていたボルトでした。
ボルトがゆるかった,サルがかじって穴が広がってしまった,などの原因が考えられます。
2日間の観察だけでは適切な評価が難しいですが,今回のエンリッチメント実習では,エンリッチメントの難しさも学ぶことができたと思います。実習生には,ぜひともこの経験を今後に生かしてもらえたらと思います。
後半は,また新たな実習生が別の内容でエンリッチメント実習を行う予定です。今度はうまくいきますように・・・。
生き物・学び・研究センター
櫻庭 陽子