生き物・学び・研究センターブログ
2016年6月4日(土)運動場のコイコはスマート
先ほどのブログ(「勉強部屋百景28」)と同じ日のコイコの話です。
チンパンジーたちは,「朝のお勉強」の時間が終わると,運動場に出て,日中の時間を過ごします。
運動場には,ジュースを入れたポットが付けられている日があります。
ポットには鍵がかかっていて,水筒のように持ち上げて飲むことはできません。
では,どうやって飲むか?
それは,チンパンジーが考えるのです。
イジワルをしているわけではありません。
チンパンジーは,野生の生活でも,いろんなタイプの道具を使って,食べ物を手に入れています。
その知性を,動物園でも少し,見せてもらおうというわけです。
実際,チンパンジーたちは,運動場に生えている木の枝を折って持ってきて,
その先を浸して,ジュースを飲む方法を考え付きました。
この日も暑かったので,さっそくチンパンジーたちはジュースポットの所へやってきました。
でも,コイコは道具を持っていません。
じつは,ニイニにお気に入りの道具を取られてしまったのです。
そこで,コイコは使いやすい道具を新たに探し始めました。
とりあえず,近くにあったアオギリの枝を折って持ってきます。
大きすぎて邪魔なので,加工します。
それでもしっくり来なかったようで,別な枝を取りに行きました。
2本目もやっぱりしっくりこなかったようで,別の枝を取りに行きました。
今度は大きな枝を持ってきました。
枝の先をしがんでほぐし,ジュースを吸着しやすくする工夫もします。
けっきょくこの日は3本目もうまくいかず,諦めて別の食べ物を探しに行きました。
使いやすい道具って,なかなか見つからないものなのですね。
田中正之