生き物・学び・研究センターブログ

2014年5月11日(日)ニイニの好奇心

今年の5月で1歳と3か月のニイニです。

道具を使ってジュースを飲んだりすることはまだできません。
だけど、今の時期は将来の行動にとっても重要な時期です。
おとなたちの行動をじーっと見て学習します。

その好奇心はなかなかのもの・・・

あのー・・・

邪魔なんですけど・・・とコイコさん。

グイグイやってくるニイニが枝をなめることを、コイコは時々ゆるします。
もちろん、自分がなめたあとですが。

ゴンベの野生チンパンジーでは、シロアリ釣りに初めて成功した年齢は
メスで2歳半ほど、オスで4歳半ほどという報告があります(Lonsdorf et al., 2004)。
ボッソウのチンパンジーでは、オスでもメスでも大体2歳半ほどで
「アリの浸し釣り行動」ができるようになるということです(Matsuzawa et al., 2011)。
大人たちの行動をじっくり見ることで、行動の獲得が早くなるのではないかということが考えられています。
また、飼育下では1.5歳くらいで物体と物体を結びつけるような行動が頻繁に出てくるようになるという報告があります(Hayashi and Matsuzawa, 2003)。

じーっと見ることが大事なのだとしたら、
チャンスに恵まれているニイニは、早く覚えてくれるかもしれません。


おとなたちが使った道具を触るニイニです。
あと一歩。

山梨(京都大学野生動物研究センター)

参考文献
Lonsdorf, E. V., Eberly, L. E., & Pusey, A. E. (2004). Sex differences in learning in chimpanzees. Nature, 428(6984), 715-716.
Matsuzawa, T., Humle, T., & Sugiyama, Y. (2011). The chimpanzees of Bossou and Nimba. Tokyo: Springer.
Hayashi, M., & Matsuzawa, T. (2003). Cognitive development in object manipulation by infant chimpanzees. Animal Cognition, 6(4), 225-233.


文責:田中正之