生き物・学び・研究センターブログ

2014年5月6日(火)強いのはだれ?

研究者の中で時々話題になるのが、
「で、結局α(アルファ)オスってなんなんだろうね。」ってやつです。

αオスとは昔はよく「ボス」とか言われていましたが、
オス同士の関係では強くてもメスからの反応がいまいちだったり、
優位と言われているオスがそんなに得しているようにみえなかったりすることもあるからです。
特に飼育下だとなおさらです。

チンパンジーの場合、オスは性成熟してしばらくすると
すべてのメスよりも優位になるといわれています。
実際、コイコはオスたちにガハガハと声を出してあいさつをしにいったりと気を使っています。

京都市動物園には大人のオスチンパンジーが2個体います。
そのうち最近めきめきと力を見せているのは、ジェームスです。
顔は強面です。

でも、笑った顔はかわいくて(前:タカシ、後ろ:ジェームス)

メスやコドモにはとんと優しいオスなのです。

そんなジェームスなので、ひとつのジュースをコイコと一緒に
仲良く飲んでいることがあります。

そして時にはコイコに「それ、よさそうじゃん」という感じで
枝を奪われそうになります。

最近はスズミにすら…
「それ、よさそうじゃん」

ジェームスは怒りません。

こう見ると奔放なメスたちに思えますが…

スズミの場合みんなが集まっているところに近づいたとき、
タカシに怒られていることがあります。

しかしコイコにはそういうことはほとんど起こりません。
なんとなく、年齢を重ねたメスのチンパンジーは特別な気がすることがあります。

というわけで、個人的に心の中ではコイ様と呼んでいます。

山梨(京都大学野生動物研究センター)


文責:田中正之