生き物・学び・研究センターブログ
2014年4月27日(日)スズミはエース
前回チンパンジーの道具使用をうながすフィーダー(給餌装置)の紹介をしました。
さて、今回の主役はスズミ(17)です。
動きのすばやさも京都市動物園No1ですが、道具を使うのもとってもうまいのです。
誰よりも長くジュースを飲み、また飲むときには上手に先っぽをふさふさにします。
ちなみに、ふさ状にしてジュースの吸収率をあげる工夫は、他の個体もやります。
しかし、すべてのチンパンジーができるわけではありません。
幼いころにこうしたことを覚えなかった個体はやらないようです。
そして、新しい杵つきフィーダーを最初に覚えたのもスズミです。
ノリノリの日のスズミは、だれにもフィーダーをゆずりません。
たとえニイニがやってこようとも…
口で追い払います。
基本的に寛容な大人たちの中で育っているニイニは口をとがらせて
不満を表します。
別にスズミが格別意地悪なわけではありません。
基本的にチンパンジーは自分の好きなものに対しては貪欲なのです。
それに、ニイニがフィーダーを探索するのを待っていることもあります。
タッチパネルを使ったお勉強はそれほどできるわけではないようですが、
道具使用に関してはエースです。
ただ、こちらのエース、環境変化に弱い不安定エースであります…。
最近はいろいろなことが重なり、それほどモチベーションが高くありません。
しかしそんなところも含めてスズミはスズミで、スズミの魅力なのです。
山梨(京都大学野生動物研究センター)
代筆:田中正之