生き物・学び・研究センターブログ
2014年4月20日(日)チンパンジーのいろいろな道具使用
もともと物理的にも社会的にも複雑な環境で生活をしている野生動物たちにとって、単調な飼育環境は時にストレスを与えることにもつながります。そのため、飼育環境でも動物たちが本来の行動や能力を発揮できるように、
工夫をする必要があります。
それに動物が生き生きとしていると、見ているわたしたちも嬉しいものです。
そこで最近、チンパンジーの屋外展示場に2つのフィーダー(給餌装置)を
設置してみました。
チンパンジーたちは野生でもアリを釣ったり、ナッツを割ったりと、
さまざまな道具を使っています。
動物園でもチンパンジーたちが、好きなときに食べたり、道具を使ったり
できるようにすることが目的です。
1つ目は、ジュースのみフィーダー。
穴の中に枝などを入れて中に入っているうすめたジュースを飲みます。
前からもありましたが、さらに工夫をして数を増やしてあります。
ジュースを飲むジェームスさん。
いい顔しています。
2つ目は、杵つきフィーダーです。
上から棒などを使って叩き落とすと、下から食べ物をとることができます。
チンパンジーたちにとって、自分から遠い方向に食べ物を落とすということは、意外と難しいことなのです。
こうした新しい道具使用をどんなふうにチンパンジーたちが覚えていくのでしょうか?
次回以降にまた報告したいと思います!
こうしたジュースや食べ物は朝一で入れるので、お昼前には終わってしまうこともしばしばです。
チンパンジーたちが道具を使う様子を見るためには、ぜひお早目にお越しください。
フィーダーの詳しい説明や、フィーダーの前で繰り広げられるチンパンジーたちの様子をちょくちょく配信したいと思います。
山梨(京都大学野生動物研究センター)
代筆:田中正之