生き物・学び・研究センターブログ

2010年11月8日(月)マンマルの2年間(その2)

2008年の8月以来、数字の順番を覚える学習に参加してくれていたマンマル(3歳)ですが、11月に大阪の天王寺動物園に移動することになりました。さびしくなりますが、新しい環境に早く慣れてくれることを祈っています。

さて、前回の続きです。
数字の勉強を始めたマンマルは、1から始めて、1-2、1-2-3と学習を進めていきます。(おそらく)ごほうびの食べ物に対する強い意欲に支えられて、最初はできなくても毎日勉強を続ける中で、順序を覚えていきました。

しかし、家族の中で唯一勉強をしている彼には、悩みがありました。

(円で示したのがマンマル)
父親のマンゴロウ、母親のオネがそろって邪魔をしたのです。
マンゴロウは、勉強すること自体を邪魔するように、モニターの前に立ちふさがりました。
ときには、勉強中のマンマルにつかみかかることもありました。
母親のオネは、食べ物目当てで、息子がもらおうとしているリンゴを横取りしようとしました。うまくいかないと、モニターに八つ当たりの攻撃をしてくることもありました。
性格のきつい母親で、身体の大きなマンゴロウ以上に、マンマルは母親の動きを気にしていました。


1と2の順番を答える問題に向かうマンマル。


両親の邪魔にも負けず、1-2-3の勉強を続けるマンマル(中央)


しつこさでは子どもの方が上でした。マンゴロウの邪魔をくぐりぬけて学習を続けました。

ところが、そんなマンマルが急に勉強をしなくなった時期がありました。

左下隅のタッチモニターから遠く離れた場所に座るマンマル。
2009年1月ごろのことでした。ちょうど寒さが厳しい時期で、一時的に意欲を失ってしまったようでした。


マンゴロウの威嚇、攻撃は続いていました。上の写真は、タッチモニターの前に立ちふさがって、近づいてくるマンマル(○印)を威嚇するマンゴロウの様子です。


マンマルにとって、勉強の時間は、ただ数字の順番を覚えるだけではなく、常にマンゴロウとの距離を測って、攻撃をかわさなければならない、忙しい時間でした。

この頃には父親のマンゴロウは完全に勉強をする気を失っていて、タッチモニターに触ろうとするそぶりも見せませんでした。それに比べると、マンマルははるかに厳しい状況だったにもかかわらず、よくがんばって続けてくれたものだと思います。

この続きはまた次の回といたします。


田中 正之