飼育員ブログブログ

2025年1月6日(月)年末年始のアカゲザル

年が明けて2025年になりました。
年末年始、動物園は12月28日から1月1日までお休みでしたが、
変わらず、動物飼育業務は、休み関係なくあります。

話は12月の頭に戻ります。
アカゲザルのアギに食欲不振が見られるようになりました。
当初は寒くなったことによる、何らかの体調不良かと思い、
一度捕獲して、健康診断を行うことにしました。

所見ではあまり変わったところは見られなかったのですが
血液検査の結果、腫瘍(ガン)の可能性が疑われました。

そこで、12月の下旬に再度捕獲を行い、
除去手術を試みることになりました。

しかしながら、すでに子宮、卵巣周辺での腫瘍の発生が著しく、
取り除くことが難しい状況になっておりました。
(今年5月に亡くなったアカゲザルのヨネも同じような状況でした)
そのため、除去手術は中断することを選択し、
そのまま経過観察を続けていくことになりました。

その後、手術の傷口が塞がるまで1週間程度、群れから分離しておりました。
アカゲザルは順位のある社会のため、
治療などで一度長期間分離をしてしまうと、
順位の変動、闘争の頻発、最悪の場合、
群れに戻れない可能性もあります。
それを防ぐために早々に柵越しでのお見合いを行い、
群れの社会関係にあまり影響が出ないようにしていました。

体力の落ちたアギが無事群れに戻れるか不安でしたが、
年明けにはひどい闘争が起きることもなく、
今では、何事もなかったかのように、群れに復帰することができました。

(左がアギ、右はナノ)
今後のアギの経過についてですが、
おそらくこのまま腫瘍を取り除くことはできず、腫瘍に対する治療は困難に近い状況です。
そのため、このまま腫瘍と共生し、経過を見ていくことになると思います。
この先、アギのQoL(生活の質)を見据えて、
どこかで何らかの判断をせざるを得ないこともあるかもしれませんが、
長い目線で、彼女の福祉を見届けていければと思います。

アカゲザル担当
オカベコウタ