飼育員ブログブログ
2023年10月23日(月)ムササビの近況③:事故の原因究明
本記事では現在バックヤードで飼育しているムササビの近況を綴っています。
今回は、獣舎内でのケガの原因、について。
(過去の記事:近況①・近況②)
今回の連続記事をご覧いただいている皆さんにとっては、
最も気になっている点かもしれません。
結論から申し上げますと、原因はハッキリと特定できていません。
ただ、動物舎外の野生動物との干渉が一つの原因として挙げられます。
現在、ムササビ舎の周辺では、
トラップカメラを用いた野生動物の出現をモニタリングしています。
ムササビ周辺に仕掛けているトラップカメラ
ケガを負ってから約4ヶ月が経っているため、
直接的な原因究明につながるとは言えません。
ただし、このカメラにうつった動物からの何かしらの刺激により、
ムササビたちがパニックになり、頭部を強打した可能性があるため、
今後の対応策を考える上で非常に重要なプロセスだと考えています。
これまでにカメラにうつった動物たちをご紹介しようと思います。
・ハクビシン(Paguma larvata)
7月中旬に1日だけ確認されました。
同時期に、京都の森の雨庭で、
ハクビシンのものと思われる糞が落ちていました。
リス・ムササビ舎の周辺にも顔を出していたようです。
当時のブログ記事では、
リス・ムササビ舎のカメラでは捉えられていないとお伝えしていましたが、
後の調査で姿を捉えることができました。
ちなみに10月には、京都の森展示室の南側に位置する、
柿の木にもハクビシンのものと思われる糞が確認されました。
ハクビシン(トラップカメラの動画はコチラから)
肢が短く尾が長い
・タヌキ
十中八九、ホンドタヌキ(Nyctereutes procyonoides viverrinus)でしょう。
8月後半~9月初頭にかけて、計3日観察されました。
毎日同じ場所で排泄する「ため糞」という習性をもつ動物ですが、
過去には園内のゾウ舎北側でため糞が見つかったこともあります。
今回カメラにうつった個体は、隣の小獣舎の周辺を気にしている様子でした。
当園で飼育しているアナグマなどは、フンの中に未消化物が混じります。
イタやフクが夜間排泄したフンの匂いを探っているのでしょうか。
ホンドタヌキ(トラップカメラの動画はコチラから)
ハクビシンよりも肢が長く尾が短い(トラップカメラの動画はコチラから)
・アライグマ(Procyon lotor)
9月末に一度観察されました。
実は、園内で姿が確認されたのは初めてとなります。
大きくてフチが白い耳・盛り上がった背中・縞々模様の尾が特徴的です。
ホンドタヌキと同様に、隣の小獣舎の周辺を気にしている様子でした。
アライグマ(トラップカメラの動画はコチラから)
・ネコ(Felis catus)
アライグマ同様、9月末に観察されました。
首輪は付いていないので、野良猫でしょう。
耳がキレイなので、いわゆる「さくらねこ」ではなさそうです。
イエネコ(トラップカメラの動画はコチラから)
・カエル
大方、ウシガエル(Lithobates catesbeianus)でしょう。
雨の中、道の真ん中に堂々と鎮座していました。
京都市動物園の噴水池では駆除活動が行われていますが、
まだまだ出没しているようです。
ウシガエル(トラップカメラの動画はコチラから)
・ネズミ
おそらくクマネズミ(Rattus rattus)かと思います。
今回ご紹介している中では、最も観察回数が多い動物です。
京都市の中心部でも繁殖しているクマネズミ。
学習能力・運動能力ともに高く、垂直方向への移動も難なくこなします。
クマネズミ(トラップカメラの動画はコチラから)
このような形で、
今後もトラップカメラを用いた調査を続けようと思います。
そして、
ムササビが安心して暮らせるように、皆さんが安心して観察できるように、
動物舎の整備方法を検討していきます。
次の記事が最後となります。
これまでブログを読んでいただいた皆さんに、
大事なご報告をさせていただきます・・!
リス・ムササビ担当 星野