飼育員ブログブログ
2023年5月1日(月)ヒツジの毛刈り
新緑が萌える季節となりました
暑い日は夏日にせまるほど気温が上がります
この時期の「おとぎの国」の恒例行事と言えば、
『ヒツジの毛刈り』
一年で伸びた全身の毛をバリカンで刈り取るのです!
冬と夏で温度変化が大きい地域に生息する野生の哺乳類は、
季節に合わせて毛が生え変わります。
冬には下毛が多く保温性の高い、モフモフした毛に、
夏には下毛が少なく風通しのいい、サッパリした毛になります。
(↑ 冬毛から夏毛に生え変わっている途中のホンドギツネ)
ところが、毛を取るために家畜化されたヒツジは、
自然に毛が抜けないよう品種改良されており、
人の手で刈り取ってやらないと、
どんどん伸びて毛ダルマになってしまうのです
伸びすぎた毛は歩行や排泄に支障をきたし、
ウジの発生や感染症の原因になるなどの
深刻な健康被害につながります
2015年、オーストラリアで見つかった「クリス」というヒツジは、
歩行が困難なほどにまで毛が伸び、命の危険にさらされていました。
※著作権の関係で写真は載せられませんが
「ヒツジ クリス」とWEB検索するとすぐ出てきます
プロだと通常1頭につき3分ほどで全身刈り終えるそうですが、
長さ約45cmにも伸びたクリスの毛刈りには、
オーストラリアの毛刈り王者の腕をもってしても45分かかり、
刈り取った毛の重さはなんと約41kgにもなったそうです!Σ(゚Д゚;)
これはギネス世界記録となっています
ちなみに、一般的なヒツジ(メリノ種)1頭分の羊毛は4~5kgなので、
クリスの羊毛量はまさにケタ違い
さぞしんどかったことでしょう(>_<)
毛刈りがヒツジにとって不可欠であることがわかったところで
やっと本題です(笑)
当園には「チョコ」というヒツジが1頭います。
顔と四肢の黒い「サフォーク」という種類
「ひつじの ●ョーン」でおなじみですね
主に羊肉を取るための肉用種(最高級だそうです)なので、
メリノ種よりは羊毛量が少ないですが、
それでもこのモコモコの毛で夏は超えられません。
毛刈りの準備。
刈った毛が土で汚れないようにブルーシートを敷き、
バリカンのコードを繋ぎます。
準備中、不安そうなチョコ。
シートの真ん中で、チョコをお尻で座らせます。
この体勢にするとヒツジはみんなおとなしくなります。
ぬいぐるみみたいですね(笑)
両ヒザでチョコの体を軽くはさんで保定し、
胸・腹・内股から刈り始めます。
その後は横に寝かせて、体側やお尻、首などを順番に刈っていきます。
おとなしく寝ているチョコですが、麻酔はかけていません。
ヒツジの肩の下に足を差し込んで少し体を浮かせるようにしておくと
ヒツジは立ち上がれず、おとなしくしてくれているのです。
不思議ですね~
年に1回、しかも1頭しか刈らないので、
毛刈りに関しては素人同然なおとぎの国担当者一同。。。
経験のある職員からの指導を受けつつ、交代しながら刈っていきます。
もちろんプロのように3分で終わるわけはなく、
休憩もはさみつつ、毛刈り王者が「クリス」を刈った時と同じ
45分ほどかけてやっと刈り終えました(;^_^A
毛刈り後のチョコがこちら。
取れた羊毛は1.6kg。
なんだかヒツジじゃないみたいですね(笑)
四肢と顔が黒いので体の皮膚も黒いと思われがちですが、
実は体の皮膚は白いのです!
刈りムラがありますが、まぁご愛嬌ということで(;´∀`)
これで暑くなっても大丈夫(*^^)v
チョコちゃん、サッパリしたね~♪
担当:おとぎの国一同