飼育員ブログブログ

2023年4月21日(金)体重測定の馴致中です!

京都市動物園では、今までケープハイラックスの体重測定を、全頭捕獲して実施していました。ケープハイラックスはとてもすばしっこいため、寝室に入れて1頭ずつ袋をかぶせて捕獲するのですが、寝室でも走り回って狭い窓枠にしがみついたり、忍者のように壁に張りついて下りてこなかったり…。また,ケープハイラックスは体温調節が苦手で、興奮したり動き回ったりして「オーバーヒート(体温の異常上昇)」を起こし、最悪死に至るリスクがあるため、捕獲は必要最低限にとどめたいと思っていました。

警戒心の強い彼らに配慮して、今までは給餌後すぐに舎外に出て前の通路から様子を観察していましたが、体重測定時の負担を軽減できるように、まずは担当者が近くにいてもパニックにならないように慣れてもらうことから始めました。展示場に餌を置いて室内で息をひそめてみたり、大好きなおからを置いて展示場内でじっと留まってみたり、外の網越しに餌を置いて待ってみたり…。

以前は担当者から一番遠い展示場の    
隅っこに固まっていました…

すると、少しは担当者がそばにいることに慣れてくれたのか、ニッパとサンゴの2頭はおからの力を借りてではありますが、手を伸ばせば届きそうな距離まで近づいてきてくれるようになりました!(もちろん手を伸ばそうと少しでも動けば、すぐに跳んで逃げますが…)

少しずつ距離を詰めてくれるように!
(もとは画像左上の隅っこで固まっていました)
担当者との距離およそ1mでおからを食べるサンゴ

さらに、この2頭は餌が無くても担当者のいる室内に近づいて覗いたり、展示場に餌を置くとすぐに食べ始めたりすることが増えてきたため、捕獲しなくても体重計に乗ってくれるのではないかと思い、試しに体重計を置いてみることに。すると、あっさり2頭の体重を測ることができました!!!体重測定の動画は成功した日(2023年4月4日)にInstagramに投稿していますのでご興味がある方は見てみてください!

室内の担当者を気にして覗くサンゴ(手前)とニッパ
体重計を箱で覆い隠して警戒しないようにして測定成功

体重計そのものを怖がって測定できないことも考え、体重計本体を隠して離れたところから数値が確認できるように隔測式の体重計をAmazonほしい物リストでご寄付いただきました。展示場に体重計を設置して画面を室内で確認できるようになり、捕獲の必要がなくなったことでリスクが無くなり、定の頻度を高めることもできます!

ご寄付いただいた隔測式体重計

体重測定初成功から2週間後には、ポテチとギンジも体重計に近づいたり、一瞬ではあるものの箱に乗ったりと着実に体重測定成功に近づいています!こちらも4月18日に動画をInstagramに投稿しています。

体重計に乗るポテチ
体重計に乗るギンジ(手前)

ニッパとサンゴ以外の3頭はまだまだ警戒しているため、もう少し時間がかかると思いますが、馴致を続けていずれは5頭全員の、捕獲しない体重測定を実施したいと思っています。

ケープハイラックス担当 オリト