飼育員ブログブログ

2023年4月13日(木)イチモンジタナゴ初放流

当園で繁殖保全に取り組んでいる希少淡水魚イチモンジタナゴ。
先日、今年で8年目となる
「守れ!イチモンジタナゴ プロジェクト2023」が始動したと
ブログでお知らせしました。

1つの繫殖用水槽に入れる個体はオス1尾・メス3尾の計4尾ですが、
繁殖個体にもしものことがあった場合に備えて、
オス10尾・メス20尾くらいの個体をストックしておく必要があります。

昨年までは、繁殖がうまくいかなかったり、
生まれても成熟するまでに死んでしまったりで、
当園生まれの個体だけでは繁殖に足りず、
琵琶湖博物館から個体を分けていただいて繁殖に取り組んできました。

…が!昨年は繁殖に大成功☆
見事100尾の稚魚が生まれました!

残念ながら成熟することなく死んでしまった個体もいますが、約70尾は成長し、
初めて当園生まれの個体だけで繁殖用の個体数をまかなうことができました(*^^)v
ストック用の個体を残してもあり余るほど…

ということで、繁殖保全の最終目標「野生への再導入」へ向けた取り組みとして、
イチモンジタナゴの生息が確認されている平安神宮の池に、
当園生まれのイチモンジタナゴを放流しました!

放流日は朝一から移送するスケジュールなので、事前に準備をしておきます。
前日に数人がかりでストック用水槽内のイチモンジタナゴを全個体捕獲し、
性別を確認して雌雄別のプラスチック水槽に移します。

大きな水槽から体長3cmほどの小さなタナゴを
61尾すべて捕獲するのはなかなかに骨が折れました💧
所要時間約2時間…(;´▽`A“

そこからストック用に残す個体を選抜し、余り個体39尾を放流組として
プラスチック水槽で一晩おきます🌙

放流当日、天候は雨ですが決行です!!
朝一にプラスチック水槽からビニール袋に移します。

移送中に袋が破れてしまわないよう、コンテナの中にビニール袋を敷きます。


すみっこにかたまってますね~

移したら園内の動物病院へ

酸欠にならないよう、酸素を充填します。

袋が酸素でパンパンになりました☆

これで酸欠の心配はなし!

そのあとは歩いて平安神宮へ

宮司さんたちに挨拶をして、放流場所の打合せをします。

平安神宮でも最近の調査で捕獲できたイチモンジタナゴは2尾だけだったそうで、
今回の放流で個体数が増え、繁殖への期待が高まると、
とても喜んでいただけました(*´▽`*)

境内を通していただき、放流地へ

西神苑へ到着しました💨

ここが放流組たちの新天地となるわけです!

広~い!!(゚Д゚;)

放流前に簡易の水質検査キットを使って
袋の中の水と池の水の水質に大きな差がないか確認します。

魚はデリケートなので、水質が大きく異なる水にいきなり入れると
ショックで死んでしまうことがあるのです💦

検査の結果、問題なしだったので、
水温だけ合わせて放流することにしました。

屋外の水槽で管理していたので、水温もさほど変わらないのですが念のため。
ビニール袋ごとしばらく池に浮かべて水温を合わせます。

そしていよいよ放流です!
袋の口を開け、ゆっくり池の中へと放ちます。

雨で水面が激しく揺れるのと、暗くて水の中が見えにくいこともあり、
袋から出たタナゴたちは一瞬で見えなくなってしまいました(;´∀`)

水槽の中と違って野生は厳しい環境ですが、
たくましく生き抜いて繁殖してくれることを願います。

みんな元気でな~!頑張れよ~!!(>ω<。)

今年の繁殖も成功して、また来年放流できますように☆
神様にお願いして帰ってきました。

担当:くろ(*´ω`*)