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2023年2月25日(土)サル島の思い出写真・エピソード募集まとめ

 2月12日(日)まで「サル島の思い出写真・エピソード」を募集していました。
 17名の方から1963年頃~2022年までの写真21 点、エピソード19点の御応募をいただきました。ありがとうございます。御応募いただいた写真とエピソードを年代ごとに御紹介します。なお、敬称は省略とさせていただきます。

○1963年頃(昭和38)・まんまる
 今 57才の私。
 子供の時は、近くに住んでいて 庭の様に よくこの動物園に来ていました。また動物園の園内にあった食堂に 祖母が働いていました。
 子供の時は、その食堂の近くのサル島には抱っこしてもらって見ていたものです。
 それから、私が子供を産んでからは、やはり動物園に来ると1番にこのサル島を見に行ったものです。
 動物園に来てる人は家族連れが多くて、私は子供が産まれる前に主人を亡くし 産まれる前からずっと母子家庭…
 そんな私には、ちょっと辛い場所でした。
 でも、サル島を見ると、家族で行動するより 母と子供が一緒にいるのを見て、『あ~母と子供だけでもいいんだ』と思った事がありました。
 子ザルは、母ザルのしっかりそばにいて、母ザルは、子ザルをしっかり守っている姿を、1日中 見ていても飽きないんです。
 サル島には檻の中の世界ではない、サルの世界がわかって、 自分に置き換えて 頑張ろうと思ったり、笑える様子があったり、ケンカしていたり、エサを取り合ったり…ものすごく今まで励まして頂きました!
 有難うございました。
 なくなるのは非常に残念です………

○1964年頃(昭和39)・増井千夏

1964年4月に「京都市紀念動物園」から「京都市動物園」に改称しています。
後にホッキョクグマ舎(1958年7月築)
後にゾウ舎(1923年3月築) 
 赤ちゃんの頃から、小学校・中学校・高校~デートでも。
 両親に連れて行ってもらっていた私が、今度は、自分の子供を連れて行き、今では、孫と一緒に。
 今まで、かぞえきれないくらい、京都市動物園に行っています。
 時代とともに、動物園も、新しくなること、仕方ないんですが、小さい頃に、絶対に見るのが、サル山でした。
 いのししが、一緒に入っていたのも、知っています。
 写真は、父親が、撮してくれたサル山を、みている母親と私、弟。
 ずいぶん昔の写真ですが、懐かしいです。

○1966年以降(昭和41)・光彩
 およそ60年前の思い出です。
 日曜日は河原町カトリック教会に行ってました。
 礼拝の後は歩いて美術館を通って帰ったり、時には動物園にも行きました。
 姉妹お揃えの服を着せてもらって順々に父の手にぶら下がって、動物園の門をくぐりました。
 大きな鳥かごの向こうにある「サル島」。当時は「サル山」と呼んでいたように思います。イノシシの背中に乗ったサルや毛づくろいをしてもらっている赤ちゃんサルなど、しばらく観察してから遊具の飛行機に乗せてもらうのが楽しみでした。
 「サル山」では持っていたお菓子やみかんなどを投げ入れていました。(本当はいけないことだったのでしょうけれど、そのころは禁止の札はなかったのでは?と思います。)
 父は20年前に他界しましたが、父に連れてもらった動物園は私たち姉妹の、大切な思い出です。
 岡崎から青蓮院、知恩院、円山公園を抜けて帰る道々が父に甘えられる帰り道でした。
 「さるやま」をバックに撮った写真はありませんが、新聞記事を読んで、にわかにその頃の父や動物園、そのにおいまでよみがえってきました。
 サル島が閉鎖されたのは残念ですが、素通りできない動物園らしい施設でした。

○1971年頃(昭和46)・サンダースジョニー
 私が3歳の夏、動物園に連れて行ってもらいました。兄弟お揃いのエンジ色のフェイクレザーのキャップを被り、楽しく過ごしていました。
 サル島にさしかかり、私はとても興味を引かれ、岩山を行き交うおさるさんに目を奪われました。
 山にかけ登ったり、遊具に飛び移ったりするおさるさん。
 柵の真下の、壁際を走りまわるおさるさんを見つけた私はもっと見たいと思い、背伸びして柵の上から覗き込みました。
 その時です。
「あっ」と思ったときは時すでに遅し。私のキャップが脱げてしまい、ぽとりと下に落ちてしまいました。
 おさるさんは大喜び?
 あっという間にオモチャになってしまいました。
 その日のわたしの写真は朝は帽子あり、昼からは帽子なしでした。
 今もキャップが落ちていくあの何秒かのシーン、なぜか忘れられません。

○1975年頃(昭和50)・ゆう

 2歳位の私にとってサル島は足元がすくむ程の高さがあり、落ちないかドキドキしたり、それに他の獣舎とは造りが全く違うので、ワクワクしたりで、とても印象に残ってます!今では考えられませんが、お客さんが人間のおやつを投げ与えたり、おやつを頂戴とねだるお猿さんがいたりした思い出があります。
 時々、物をサル島の中に落としてしまう人もいたりしてお猿さんは驚いたり、近付いて何だこれ?みたいな反応したりでしたね。
 京都市動物園の大切な歴史として貴重なサル島を壊さずに大切に保存して下さる事を願ってます!
 サル島さん、長い間お猿さんを守ってくれてありがとう!

○1978年頃(昭和53)・園村佳世子
 幼少期、家族ででかけた動物園では、キリンを見るのが大好きでした。
 母にサル山に行こうと、手をひいて、連れて行ってもらいました。
今回、京都新聞の記事を拝見し、柵から下を見下ろすサル島の光景を今、思い出しました。
柵から下を見下ろすとサルがたくさんいて、ワクワクした気持ちと、可愛い子猿が母親ザルに抱かれてる姿をみて、とても安心した気持ちになったように記憶します。
 ところがそんな気持ちもつかの間。
 かぶっていた赤の帽子が猿のいるところに落ちていきました。
 あっ!と思ったの同時に、声を上げて母に落ちたー!と叫んでました。
 あっという間に猿たちが、帽子の周りを囲んで、引っ張り合いをしてるのを見てたあのときの不安な気持ち。
 すぐに飼育員さんが下に降りて、帽子を猿たちから離して、私の手元に届けてくれました。
 でも、ボロボロ…
 飼育員さんから受け取ったことは覚えていますが、その後の記憶は、なぜか思い出せません…
 あの帽子どうなったのかな。
 さっきまで近くで見ていたようだったサルの姿が遠くに感じたあの光景、帽子の周りに群がった猿たちがとても遠くに感じました。
 心がザワザワしたあのとき気持ちを新聞を見ながら思い出しました。
 あのサル山なくなったんですね。
 でも、忘れられない思い出っていいですね。
 ありがとうございます。

○1978年(昭和53)~1985年(昭和60)位・石橋真子
 確か猪もいました。入り口から出てきてグルグル外周している猪の背中にお猿さんが乗っていたりしていました。  
 春にはたくさんの赤ちゃんが産まれていて、子猿をずっとずっと見ていました。見ながらも、もしも下に落ちたらどうしよう…とスリルを感じたり、脱出できそうなよじ登り方を想像しながら見ていました。だから、ずっとこの場所に飽きることなくい続けました。

○1993年(平成5)・赤井將太

 「たべものをあたえないでください」緑の文字でこう書かれたサル島を見ると、「動物園に来た!」という気持ちにいつもなります。
 祖父母、母に連れられやって来た動物園。今では祖父母も母も歳を重ね、私も大人になり、動物園ボランティアで来たり、小学校の担任として子どもたちを連れて来るようになりました。
 でもたまに家族4人で動物園に来て、サル島を眺めるといつの間にか、子どもの頃の自分に戻ります。
 アサタローやゴン等、思い出深いサルたちも居ますが、やっぱりこのサル島そのものが思い出です。
 カンガルー・ワラビー舎を過ぎると見えてくるあの光景は今でも覚えています。
 サル島、ありがとう。
 時々、家族四人で来て、小さかったあの頃に戻りに来ますね。

○1996年(平成8)・とも
 学生時代、京都会館(現在の京都ロームシアター)でのライブ前に、東山動物園でお昼から夕方まで友達と喋っていたな、と思い出しました。
 サル島を眺めながら、今日のライブでどんな曲するかな、どんなMCかな、目が合ったらいいな、などワクワク感いっぱいで盛りあがっていた気がします。
 おさるさんたちはいつも良く動いていて、人間に似たような気持ちが読み取れそうな動きもあって、見ていて飽きなかったと思います。
 他にも、今はもう無いアシカ池でも長い時間を過ごしていたはず。
 広いひろい空とたくさんの動物たち、いろんな人や動物の声、何回いっても新しい発見のある動物園。
 まだまだ若くいくらでも喋り続けられそうな私たち。
 今思えば、なんて贅沢な時間の使い方だったんだろうかと思います。
 今度こどもを連れて動物園に行く予定なので、どんな場所を気にいるのか観察しながら、親になってからも動物園を楽しみたいと思います。

○2000年(平成12)・福村和子


【左:ササミ】
 動物の写真を撮り始めたころに撮影したサル島のアカゲザルたち。
 そのうちの1点に「何を思っているのでしょうか?」とのタイトルで、作品展に応募したところ掲載となりました。まだ、動物の撮影を始めて間もない頃で、とても印象に残っており、それから動物写真をよく撮るようになりました。
 また、別の写真では優しい手が印象的で、まるでつらいことがあったサルをなぐさめてあげているのかもと思わせてくれる姿を撮影できました。 
 とても懐かしい思い出です。 

○2003年春頃(平成15)・ひさぽん
 当時3歳の娘を連れて京都市動物園に行った時のことです。
 サル島でおさるさん達が、コンクリートの山を駆け上がったり、くぐったり、鎖につかまって登ったり、降りたり、下のプールに飛び込んだり、とても楽しそうに走り回って遊んでいました。
娘はサル島の柵に顔を挟みこんだまま
「○○ちゃんも、あそこで遊びたい-!
あそこで遊びたい-!」と泣いて、その場をなかなか離れませんでした。
 かなり長時間おさるさんを見ていた思い出があります。娘を諦めさせるのに苦労しました。
 サル島は人間の子供も羨ましがるほどの、とても魅力的な場所でした。おさるさんは幸せでしたね!
 娘は20年ぶりに夢が叶うでしょうか?

○2012年(平成24)・gorilla.genki
【プールの縁いるのは、左からトノ・カンカン?・アサタロー。
 プールの中にいて縁に近いのがヨコ?】

 真冬の楽しみなイベントでした。中学生の吹奏楽も楽しい時間でした。暖を取る為に、お湯の中に入る?では無かったかもしれませんが、確か個体差が有り、水を怖がらず、プールに入り潜るサルもいる事が新鮮でした。写真を手繰っていたら、夏場、プールに飛び込んでいる個体の写真も有りました。懐かしい思い出でした。

2013年(平成25)・gorilla.genki
【氷に乗っているのがチーコ、手前がナナコ?、右端がデコ】

 いつも楽しい作品をさる島に提供して頂きました。特にさる島に用意して下さる氷は、力が入っているようで、楽しみです。この年の作品は、見事でした。何枚か有る中で、よくよく見たら、アゲハもさる島に侵入して居ました。面白い写真になりました。

○2015年(平成27年)・石田彰人
【左パイプ:カンカン、右パイプ:コユリ】
【手前左からコユリコ、トノ、カンカン、その後はナナコ】
【左:コユリコ、右:テンプラ】
 年賀状の素材撮影で、2015年12月6日に行われた(確か最後の)サル温泉で撮影したものです。肝心のお湯に浸かっている写真にあまり良いものがなくて、数ある中からこの3枚を選んでみました。

2017年(平成29)・gorilla.genki
【サル団子:奥で顔が見えているのが左からトノ・カンカン・サエコ
手前で顔が見えているのがコユリコ】
【下段:ヨネ】
 冬場、大きくは無いですが、サル団子が出来ます。団子になって、寒さに耐えてる個体がいる中で、寒さなんかへっちゃら、混ざらないと頑張る個体がいて、とっても面白いと思いました。個体識別が出来ないので、誰だか分かりませんが、今でも頑張っているのでしょうか?
 今回改めてデータを見直してみて、我ながら大変面白い写真が出て来て、楽しかったです。
 類人猿舎でまた違う表情を見せてくれ始めています。これも又楽しみです。
 コロナ禍、寒さ厳しい折、苦労も多くいかばかりかと思います。
 動物達の幸せ、楽しいイベントよろしくお願いいたします。

○2018年(平成30)・恩田政弘
【上段:チーコ、中段左:トノ、中段はしご:チーコ】

【アギ】
 京都市在住で園には何回か行って居るのですが、この日はカメラを持って行き撮影! 色々と撮影したのですが、やっぱりフェンスの無い『サル島』が良く、個々に自由に過ごしているサルを観て長い時間を過ごしました。
他の動物も色々と撮影して来ました。

○2019年(平成31)・AYA
【トノ】
【トノ】
【ボコ2】
 京都市動物園は、桜がとてもきれいです。
 桜と動物が写っている画像を撮りたくて、お伺いしたときの写真です。
 可愛いおサルさんと可愛いピンクの桜がよく似合っていると思いました。
 猿山は、私が小学校の遠足で行った時から変わっていない景色で、行くたびに懐かしくなる場所です。
 この風景が変わってしまうのは少し寂しいですが、おサルさんたちがより良い環境で飼育されると伺い、嬉しく思います。

○2021年(令和3)・松本尚美

 小さい頃から家族で動物園へよく連れて行ってもらってました。
 中でもサル島にはたくさんの猿がいて、すばやく動き回る猿の姿を長い時間観とれていました。
 孫との最初のお出掛けも京都動物園でした。
 2021年の動物愛護デーの標語で入賞し頂いた年間パスポートで孫と二人お弁当を持って出掛け私の好きなサル島の見えるベンチの前で昼食をとっていました。
 サル島山頂の車輪を上手に回す猿にみとれている孫の姿です。
 昨秋閉鎖と新聞で読み残念です。
 85年間ありがとうございます。

○2022年(令和4)・shinobu
【左:トノ、右:ツボネ】
 サル島のエンリッチメントについて特に注目し始めたのは公式Instagramでいろんな取り組みを紹介されるようになってからです。
 木を植えたり消防ホースのカーテンを作ったり、アイデアを募集したり、努力されているのを見ながら暑い夏を乗り切る為に懸命にスタッフの皆さんが取り組まれている姿が印象的でした。この日は夏の氷のプレゼントの日で飼育員さんたちが氷を楽しむアカゲザルの様子を説明しておられました。
 サル島の手すりが日差しで熱くなるので消防ホースを巻いて対策しようとされていたのも写っています。夏の暑さの悩みからサルたちを救おうとされるスタッフの皆さんの熱意が引越しに繋がったのだと感じる思い出です。

 85年10か月という長い歴史の中に、人それぞれの思い出が刻まれていることを改めて感じました。
 そして、写真やエピソードを見て、改めて思い起こされる記憶もありました。特に来園者の方は落としたことを、飼育員はサル島に落ちた物を回収に行ったことが思い出として残っていると思いました。
 私も、落ちた物を回収に行ったことがあるのですが、当時は50頭以上を飼育しており、落ちた物はあっという間にアカゲザルたちにボロボロにされ、回収した時には、もう使い物にならず、落とされた方から処分しておいて下さいといわれてしまうこともありました。

 今でも落とし物を見つけることがありますので、落とし物ではなく、動物たちとの思い出をお持ち帰りいただきたいと思います。
 来年度は、開園120周年を迎えます。これまで紡がれてきた歴史に学びながら、これからの動物園の新たなステージへと向かっていきたいと思います。
 御参加いただいた皆様、ありがとうございました。
 副園長 和田