飼育員ブログブログ

2022年11月30日(水)コトのこと

ホームページやインスタグラムではすでにお知らせしましたが、レッサーパンダのコトが11月15日に亡くなりました。

2020年4月に担当し始めて最初に撮った写真。りんごを食べるときに1口ずつ顔をあげて食べるので「なんてあざとい食べ方…!」と思った記憶があります(笑)ちなみにウーロンやミーミーは前肢で持って下向きがちに食べます。

この頃はレッサーパンダは竹が主食なのに、コトは全然食べないなぁ…という印象でした。

担当して1年目は秋頃に少しお腹の調子を悪くし、調子が良くなってからはようやく竹も食べるようになってくれました。

2年目はお腹を壊さないように、と気を付けてはいましたが夏頃にまたお腹の調子が悪くなり、お腹の調子自体はすぐに良くなったのですが本来大好きで残すはずがないりんごを残すようになりました。

りんごをすりつぶしてあげてみたり、他の果物を食べないか試したりしても食べず、とりあえずりんごよりも好きなぶどうをあげたり、こまめに体重を量りながら様子を見続けていました。

夏から春にかけて相変わらず完食はしない状態が続きましたが、冬くらいから食べる量が少しずつ増え、体重も適正な体重まで戻り、根本的な解決はできていないけれども、この状態をキープできるなら、と思っていましたが4月中旬頃からまた食べる量が少し減り、体重も減り…だったので、一度しっかり検査をしようということで6月下旬に麻酔をかけて検査をしました。

採血とレントゲンと、食べない原因は歯が悪いからかもしれないと考えて口の中を確認。採血の結果もレントゲンの結果も悪くなく、悪くなっている歯を3本抜いたのでこれで食べてくれるようになることを願いました。

悪い歯を抜いたので噛み方は少ししっかりしたかなと思いましたが、歯を抜いたところがもう痛くないであろう日数が経っても完食するようにはならず…原因は歯ではなかったようです。

それから少し経ち、検査のときに打った注射が原因で左後肢に傷ができたため、また2回麻酔をかけ傷を縫うことに><肢の傷のためと暑さのためにこの時期はグラウンドにもほとんど出せない状況でした。

8月頭に朝からコトの眼が見えてなさそうな日がありました。急なことでしたが、このまま見えないようなら寝室のバリアフリーをしなければとか考えていたら、夕方にはいつも通り見えるようになっていました。

でも数日後にはまた見えなくなっていて、その日のうちには見えるようになって…を数回繰り返し、このときくらいから脳のどこかが悪いのでは、と疑うようになりました><

詳しい脳の検査は園内ではできないので外部にお願いして検査をするか悩んだのですが、原因が脳であるとわかった場合でもできることが限られるため、引き続き食べてくれるものを探したり、食べてもらえるようにを優先して考えていました。

10月末に後肢を跛行するようになり、普段は寝ないような外で寝たりするようになりました。さらに11月頭に体重を量ると今度は急に体重が増えていました。

ずっと体重を増やしたかったので、体重が増えて良かったと喜びたかったのですが、急に増えすぎたので怪しい…と思って体を触ってみるとお腹がパンパン…><

水かガスが溜まっているようだったので捕獲をせずにどうにかレントゲンを撮って確認。ガスも水も両方溜まっていました。とりあえず投薬を開始。薬の効果を確認するためと、採血がしたかったため、もう一度捕獲して麻酔をかけようと計画していた11月14日朝。最初に見に行ったときには寝室でぐったりした状態でした。

この時点で危ない状態でしたが少しだけ持ち直し、15日も継続して治療を行っていましたが、昼から容体が悪化し、15時過ぎに亡くなりました。

解剖と病理検査の結果、腹膜炎などいろいろな所見が見られましたが直接の死因と言えるものはわからず。脳の、主に後頭葉で髄膜炎があったことがわかったので、目が見えなかったのはこれが原因だったようです。

死因ももちろん、食べなくなり始めた原因が知りたい!と思っていたのですが、おそらく膵臓が悪かったこと、腸管が狭くなっていたことなどが関係しているとは思いますが、はっきりとはわかりませんでした。

今の管理で改善できるところ、予防に繋がるところがあればと思ったのですが、定期的な体重測定や採血など、日々の管理を継続して行っていくしかないなと思います。コトは採血のトレーニングを始めてすぐ食欲がなくなってしまったので、採血ができるようにはなりませんでしたが、ウーロンとミーミーは今では採血もできるようになっているし、ミーミーは毛並みも良くなってレントゲンも撮れるようになったし、今後また新しいことにも挑戦していきたいと思っています。

最後に担当者お気に入りのコトの写真をいくつか。

コトはかわいい写真が撮りやすかったのでグッズやポスターに多く採用していました(笑)

でも担当者が1番気に入っているのはこの写真。寝起きで顔の右側に寝ぐせがついてぼーーっとしているこの写真が1番のお気に入りです(笑)

9月に毎年ある国際レッサーパンダの日ではこの3年、レッサーパンダのことを知ってもらうためのイベントを行ってきましたが、コトも大きな役割を果たしてくれたと思っています。

そして、冬はレッサーパンダの繁殖シーズン。次のシーズンもウーロンとミーミーの繁殖に取り組んでいきます!あたたかく見守っていてください!

レッサーパンダ担当 なかはら