飼育員ブログブログ

2022年10月17日(月)新プロジェクト始動!!!

アカゲザルのサル島。
過去に電気系統が壊れましたが、サルワールド再整備に伴う建て替えの予定だったので、修理せずそのままにしており、近年は電気が通っていません。

ポンプが故障していた時はよく水没していました・・・。
老朽化し、修理箇所が絶えないサル島

そのサルワールド再整備計画は、財政難により凍結中です。

サル島の環境は厳しく、夏場は気温50度を超えることもあり、冬は暖房器具がないため、身を寄せ合って体を温めています。

【夏】50度以上は計れない気温計・・・。
【冬】寒いときは身を寄せ合って温めあいます。

この環境をどうにかしようと、夏には扇風機で風を送ってみたり、プールを設置したりしました。

扇風機は風が届きませんでした・・・。
手足に水をつけるチーコ

季節の変わり目には、風よけの壁のつけ外しを行っています。

冬には風よけのカーテンを設置したり、座布団代わりに麻袋を敷いたりしました。

消防ホースで作った風よけカーテン
麻袋があれば直接コンクリートに寝転ぶよりは冷えません

あの手この手を尽くしましたが、電気が通っていないサル島では、これ以上の対策はとれませんし、これだけで十分とも言えません。再整備の凍結がいつまで続くかわからない今、これ以上サル島で飼育するのは適切ではないと判断しました。

そこで、新たなプロジェクトを始動させることにしました!!

その名も・・・

「第二のイソコを目指せ!!どうぶつしあわせプロジェクト~アカゲザルの大移動編~」

43歳4か月まで生きたアカゲザルのレジェンド、「イソコ」のように、他のアカゲザルたちもよい環境で健康に長生きをしてもらいたいと考えました。

レジェンド イソコ


そこで、アカゲザルの老猿ホームのある類人猿舎に、全頭で移動することになりました!
類人猿舎は、冷暖房が完備で、グラウンドには緑がたくさんあります。類人猿舎に移動することで、現状よりははるかに環境をよくすることができると考えました。

そして類人猿舎の老猿ホームではゴンゴが亡くなり、現在はビートが1頭で暮らしています。ビートは、類人猿舎内の隣の部屋(シロフクロウが避暑に来ていた部屋)に移動してもらいます。いつものグラウンドにはそこからも出ることができます^^
ただ、本来群れで暮らすアカゲザルがずっとひとりぼっちで暮らすのは適切ではありません。サル島群やビートがお互いに覚えているかはわかりません。群れに合流する、相性のよさそうな個体と一緒に暮らす、同居がうまくいかなければ今まで通り一人暮らし、などさまざまな可能性がありますので、ビートや他の個体の様子をよく見ながら、最善の方法を考えていこうと思います。

現在一人暮らしのビート

現在はサル島群が安全に暮らせるように、高い木を切ったり、電柵を追加したり、整備を行っています。整備に必要な物品をAmazonほしいものリストでお願いする予定です。ご協力いただける方はぜひご検討ください。

脱柵防止のため、コンクリート壁のわずかな凹みも埋めました

サル島群の類人猿舎への移動は11月下旬を予定しています。しばらく落ち着くまではサル島群は屋内で過ごしてもらい、慣れてきたらグラウンドに出す予定です。
また、サル島群はサル島生まれ、サル島育ちなので、ガラスを知りません。ガラスにぶつかって大きなケガをしないように、しばらくはガラスを一部覆うこともあります。見えにくくなることもありますが、ご了承ください。

昭和初期からの長いサル島の歴史がこの11月で終わります。ぜひ最後に今のサル島で暮らすアカゲザルたちを見に来てくださいね^^

京都市動物園公式YouTubeチャンネルで、このプロジェクトについての動画を公開しています。こちらもぜひご覧ください!

アカゲザル担当 新美圭汰
        板東はるな