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2022年8月4日(木)ムササビが亡くなりました
京都の森ムササビ舎では,ムササビのムサ(オス)とチイ(メス)の展示を行っていましたが,8月1日に同時に亡くなりました。
8月1日の朝,ムササビ舎の地面に2頭が近くで横臥した状態で発見され,死亡が確認されました。
ムササビは夜行性なので,夜に巣箱から出てきて餌を食べたりしているときに何かが起きたのだと思います。
ムササビ舎には観察用カメラなどは設置されておらず,夜どのようなことがあったかは推測することしかできませんが,どのように亡くなったのか調べるために解剖を行いました。
その結果,2頭とも頭を強く打ったことで頭の中で出血しており,それが死亡につながったことがわかりました。
頭を強く打った原因について,他のイタチなどの生物がムササビ舎に侵入あるいは付近を通ったことで2頭がパニックになり柵などに頭部を強打した可能性が考えられます。
ムササビ舎の確認も行いましたが,他の生物が侵入した形跡やムササビが暴れていたような形跡はなく,実際にどのようなことが起こっていたのか確証の得られるものは見つかりませんでした。
ムサは2008年4月に右京区にて,チイは2009年5月に北区にて,2頭とも幼獣の時に救護され,動物園に持ち込まれました。人工保育で育ったため,成長の過程で親から教わる餌の取り方や危険回避の方法を知らず,ムササビの行動様式である滑空もできませんでした。以上の理由から,飼育ボランティアの形で当園が引き取ることになり,2010年からは展示個体として,動物園で過ごしてきました。
※現在,救護センターでは幼獣・ヒナの受け入れは行っておりません。
2頭とも,まだまだ元気に過ごしていたので残念です。
今後,飼育環境について様々な状況を考慮し,改善していきたいと思います。
ムササビ担当 井上