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2022年7月28日(木)【訃報】ケープハイラックスのミツヒコが亡くなりました。

7月22日に入院していることをInstagramにてお知らせしていたケープハイラックスのミツヒコ(オス・2歳)が7月26日に亡くなりました。

異変を感じたのは,7月16日の朝。

朝一番に撒いたペレットを食べに来ないミツヒコを見つけたのは展示場のU字溝の中でした。

いつもは担当者を警戒しながらもすぐに食べに来るはずなのに...

U字溝から出てきたミツヒコは後肢がふらついており,展示場の段差を移動できない状態でした。

すぐさま診療室でレントゲン検査や血液検査をした結果,骨や血液の数値に明らかな異常は見られなかったものの,段差のある環境での生活が難しいため,入院することになりました。

入院初日は動き回り,餌もしっかり食べていましたが,治療のために捕獲すると発作のように激しく頭を振る症状が現れることも。

入院2日目以降は排便が見られず浣腸したり,発作を抑える薬を投与したりしましたが,症状は改善せず...

7月26日に亡くなるまでの10日間は「昨日できていたことが今日はできなくなっている」という状況が続きました。

 

ミツヒコは2020年7月6日にニッパとポテチの2産目の3つ子の1頭として生まれました。

出生確認日の七夕にちなみ,彦星の「彦」と個体番号下一桁が「3」であることから,ミツヒコと名づけられました。

(左からギンジ,ニッパ,ポテチ,サンゴ,ミロ,ミツヒコ)

最近は食欲と好奇心の塊である妹のサンゴに釣られて,担当者の目の前まで餌を食べに来ることが増えてきて,これから成獣として群れでの立場や繁殖のことをどうするか考えながら,成長を見守っていこうという矢先の出来事でした。

今月6日に2歳を迎えたばかりで,まだまだ父ニッパとの餌の取り合いでは負けることが多かったものの,張り合えるほど体が大きくなり,母ポテチからも甘やかされるばかりの子どもから餌の競争相手として時には威嚇される場面も増え,群れの中で成獣として扱われるようになってきているなぁ。と感じることが増えてきていました。

担当者としてたくさん悩み色々なことを考えた10日間で,これからも飼育員として経験していくであろうことの1つだと思いますが,忘れることはないと思います。

ミツヒコは最期まで生きようと本当によく頑張っていました。

今はただありがとう,どうか安らかに眠ってほしいと思います。

担当:オリト