飼育員ブログブログ

2022年7月15日(金)偽卵を作りました。

偽卵とは、本物の卵で作った偽物の卵です。
繁殖計画のない鳥のメスが産卵したときに、卵を偽卵にすり替えます。
卵を取り上げるだけだと、次々と卵を産んでメスの体に負担がかかり、栄養状態が悪くなります。
それを避けるために、偽卵は欠かせません。

ニホンキジの偽卵を作りました。どんな風にできたでしょうか。


まずは、ニホンキジの卵を用意します。1個からでも作れますが、作業の途中で割ってしまうことも想定し、ニホンキジが一度に抱卵する数より多めに、12個を用意しました。

次に卵に穴を開けます。
卵はカーブが緩やかな丸いほうに空気の層があります。空気が入っているところを狙って穴を開けると、卵が割れる失敗が少なくなります。
 
歯医者さんが歯を削るときに使う道具で、慎重に穴を開けていきます。


シリンジで中身を吸い出したり、水を入れて噴き出させたりしながら、卵の内側をキレイに洗い流します。
その後、数日かけて卵の内側をしっかりと乾かします。


最後に、水で溶いた石膏を卵の中に詰めていきます。
シリンジで石膏を吸い、卵の殻の中にチュ~ッと注入。
数時間後にはカチンコチンに固まりますが、石膏の水分が多かった場合は目減りしているので、さらに石膏をつぎ足します。


出来上がりです。
本物の卵に石膏がぎっしり詰まっているので、かなり重くなりますが、鳥は卵の重さは気にかけず自分の卵と思って抱くそうです。
動物園には色んな偽卵があるので、鉛筆などで鳥の種類を書いておきます。

偽卵作りは、鳥を担当する飼育員の仕事のひとつです。
来年の繁殖期に使うため、空いた時間を利用して作っています。

ニホンキジ担当 よしかわ