飼育員ブログブログ

2022年5月23日(月)だあれ? フックンの巻

西鳥類舎にいるホンドフクロウの紹介です。
今回は、オスのフックンです。

フックンほど話題に事欠かないホンドフクロウはいません。

切ない片思いをする春。

エサのマウスをくわえ、さも捕ってきたかのように、メスのアカアトに届けようとするフックン。
ホッホー、ホホッホホッホーと鳴いて合図を送っています。
「フックン、それ、担当者が持ってきたエサやし。自分が捕ってきたみたいに鳴くのはいかがなものか」といつも思います。
案の定、オスのウルに阻まれ、渡せません。

頭が落ち武者化する初夏。

夏が近づくと、細かい羽が落ちだし、気が付くと頭部の赤い地肌が丸見えに…。
本来の頭の大きさがよくわかり、「フクロウってホンマにかさ高い鳥やわ」としみじみ思います。
落ち武者姿があまりに強烈で、皆さんから心配の声をいただきますが、病気ではないので、ご安心ください。
秋になると、ちゃんと羽が生え揃ってきます。

豪快に水浴びする夏。

顔を洗ってから、激しく全身を洗います。
顔は濡れますが、体は全く濡れないのは、さすがです。
日頃のお手入れ(羽繕い)が行き届いている証拠です。

そんなフックンの生い立ちにもエピソードがあります。
フックンだけではないのですが、3羽ともヒナの時に誤って救護されました。
そばに親鳥がいる可能性が高かったのに、連れ去られてきたのです。

モフモフの羽毛に覆われたヒナの頃のフックン。
飛ぶことはできるけれど、エサを捕る狩りの方法を親から教わっていないので、自然界では生きていけません。
そこで、動物園で飼育展示することになり、おとぎの国が次の住まいとなりました。
おとぎの国では、飛行訓練をしていたこともありました。


数年が経ち、動物園のリニューアルに伴い、西鳥類舎に引っ越してきました。
ここには既にアカアトとウルのつがいがいたので、ケンカしないかが懸念されました。
当時の担当者の取り組みが功を奏して同居に成功し、今日に至っています。

普段はおっとりとして、静かに止まり木にたたずむフックン。
時として魅力的なポーズや行動を見せてくれます。
そんなフックンに今後も目が離せません。

ホンドフクロウ担当 よしかわ