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2022年2月14日(月)獣医室だより151 チョウゲンボウの断翼から馴化まで

今年1月,野生鳥獣救護センターにチョウゲンボウが運び込まれました。
左翼前腕部を構成する橈骨と尺骨がどちらも折れており,体表に飛び出していました。
傷口も汚染されていると判断し,断翼処置に踏み切りました。

肘関節で断翼したのですが,その後縫合部の経過を観察していたところ,骨が露出してしまいました。
断翼部を周囲の皮膚と筋肉で覆ったのですが,皮膚が縮み筋肉が退縮して,露出してしまったようです。
露出した骨は感染などの原因となるため,再度麻酔をかけ,上腕骨の中ほどから切断しました。

下の写真は,手術後数日経過した術創の様子。
瘡蓋が形成されて塞がりつつあります。

術創の経過を見つつ,同時にその後に向けての準備を進めます。
この個体は自分で餌を食べることができ,活動性も良好でした。
適切な大きさの飼育スペースを確保できたため,園内の福祉委員会と協議しつつ,園内で終生飼育する計画を立てています。
現在野生鳥獣救護センターで外気温に馴化しつつ,広い飼育スペースでの行動を観察中です。

土佐