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2022年1月30日(日)獣医室だより149 ゴーラルの麻酔

京都市動物園で飼育しているゴーラルのホンホンは,年齢とともに活動量が低下したためか,爪の伸びすぎが目立つようになりました。
このため定期的に保定下で削蹄を行っていましたが昨年春先に右後肢脱臼で入院後,近づくと警戒されるようになりました。
このため,今回から,削蹄の際は麻酔をかけることにしました。

前回使用した麻酔薬の効果が安定しなかったため,今回は新たな麻酔薬の組合せを試してみました。

比較的スムーズに導入できたため,酸素吸入と,適宜薬の追加を行いながら削蹄を進めます。
爪切りのために麻酔をすると言うと大げさに聞こえますが,動物,人間どちらも怪我なく治療を終えるために必要な処置でした。

麻酔の覚醒も早く,すぐに餌を食べ始めてくれました。

現在様々な動物園で,採血や治療のためのハズバンダリートレーニングが進められています。
一方で,トレーニングが難しい動物種や個体がいるのも事実。
そのような個体の治療のためにも,やはり麻酔は欠かせない技術だと考えています。

土佐