飼育員ブログブログ
2022年1月23日(日)獣医室だより148 グリーンイグアナの採血
熱帯動物館で飼育しているグリーンイグアナは,体重7.5kg前後とやや大柄。
力も強く,検査も三人がかりで行います。
先日,食欲が落ちているために捕獲し,診察を行うことになりました。
体重測定,X線撮影,そして血液検査となったのですが…
トカゲの仲間では,尾椎静脈という,尾椎の下にある静脈から採血を行います。
大型のトカゲは力が非常に強いため,尾を持ち上げられると,強く振って狙いを定めさせてくれません。
そこでの採血の際には,下から潜り込んで採血を行うというテクニックがあります。
グリーンイグアナ展示室の出口は急な段差になっています。
個体をそこに移動させ,扉から尾を引き出すと,自然に伸ばした位置で安定させることができました。
矢印のあたり,尾の下面中央からややずらして針を入れ,尾椎を狙って針を進めると,尾椎静脈に当たります。
採れた血液は早速検査へ。
爬虫類の赤血球は,哺乳類のものと比べると,かなり平べったい印象をうけます。
今回の検査では特に異常は見られず,経過観察となりました。
他にも爬虫類,特に大型の種では,処置に特殊な方法や器具を使うことがあります。
例えば大型のカメなら,ひっくり返したり,台の上においたりして尾から採血を行います。
偉大な諸先輩方が考え出した手技の発想には,本当に頭が下がります。
取りこぼしなく活用できるよう,勉強を続けていきたいと思います。
土佐