飼育員ブログブログ
2022年1月19日(水)自然の仕組みはすごい!
ツキノワグマ舎のすぐ近くに、見慣れない芽が生えていました。
何の芽なのか不思議に思い調べてみたら、不思議が不思議を呼ぶ長い調べものになった…というお話です。
この芽は「ヤマモモ」だということがわかりました。
ヤマモモはこのような実をつける木(実をつけるのは6月くらいです)で、園内に何本もあります。
しかし、ヤマモモの葉には鋸歯(葉っぱ周りのギザギザ)はありません。あまりに似ていないので、本当かどうか疑い、いろいろ調べましたがやはりヤマモモのようです。これには驚きました。
さて、種名はわかったのですが、それなら毎年ヤマモモがたわわに実る木の下に同じような芽が生えているのではと探してみたのですが全く見当たりません。
ツキノワグマの周囲にはヤマモモの木がありません。
そんな話を先輩にすると「鳥が運んだから」とすぐに答えが!
なるほど!!
でも鳥が運ばないと芽が出ないってどういうこと? さらなる不思議が。
調べまくりました…
調べていくとこんなことがわかりました。
・樹種によって違うが,果肉の部分には発芽を抑制する物質があり,鳥や哺乳類の食べた実から出た種とそうでない種では,食べられた実からの種の方が発芽率が高い…
ヤマモモも鳥に運ばれて発芽する代表的な樹木の一つということもわかりました。
いくつか疑問もあったので,種子散布の研究をしている知り合いにさっそく確認してみました。
すると,ヤマモモは森の中にほとんど実生(みしょう)が見られず、どうやって増えているのかがちょっと不思議な植物なのだそう。なるほど,少なくとも私は今まで一度も見たこともないですし,その画像を誰に見てもらってもビックリするくらい知らない人が多いのはそのせいでしょうか。
自然の仕組みってすごい!と改めて感動しました。
そして,まだまだ未知のことがいっぱいある自然の仕組みにさらに関心が高まりました。
種子散布については現在も研究がすすめられているようで,今後の研究結果にとてもワクワクします。
この小さな芽の行く末が気になる…。とはいえ、ヤマモモが実生から育ち、実がつくには、15~20年もかかるそうです…。しかも、ヤマモモは雌雄異株(オスの木とメスの木が分かれている)ので、大きくなっても実がつくとは限りません… u_u
もし、大きくなって実ができたらツキノワグマのほのかは喜ぶだろうな^^
ほのかはもうすぐ6才だから、実が生った頃も元気でいてくれるといいな。
種の保存展示課 タカギナオコ