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2021年11月21日(日)獣医室だより140 インドオオコウモリの採血

インドオオコウモリは生理的に鉄をため込みやすい性質を持っています。
このため,鉄過剰症という病気になりやすい傾向にあります。
以前血液検査をしたところ,京都市動物園の個体も血中の鉄の濃度が非常に高いことが分かりました。
このため現在,一部の個体に対し試験的に鉄の吸収を抑える薬を与え,効果を確認しているところです。
確認のために必要になるのが,定期的な血液の採取。

採血する部位は,翼の上縁の血管。
この写真ですと,少しわかりにくいですね。

インドオオコウモリのミカンを麻酔した時の写真を持ってきました。
この写真の赤矢印のあたり,翼の縁に盛り上がった血管があるのがお判りでしょうか。
当園のインドオオコウモリでは,ここから注射針を刺して採血します。
血管が細いため細い針を使うのですが,細すぎると採血の速度がゆっくりになるのが悩みどころ。

うまく血中の鉄の濃度がコントロールできるようになったら,またご報告させていただきます。

土佐