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2021年11月7日(日)獣医室だより138 アオバトの橈骨骨折

10月末から11月初旬にかけて,立て続けに4件のアオバトの持込みがありました。
いずれも骨折をしていたり皮膚が裂けたりしており,他の動物による襲撃や,交通事故が原因であると考えられした。
この時期,山から市街地へ多くのアオバトが降りてきているのかもしれません。

そのうちの1羽は,右の橈骨を骨折していました。
橈骨は尺骨とともに前腕を構成する骨で,鳥類では尺骨よりも細い骨です。
骨折端がずれており,このまま放置した場合,骨折の治癒は難しいと考えました。
幸い尺骨は無事で添え木代わりになりますし,傷を負ってからすぐ持ち込まれており感染もありません。
X線写真を撮影したところ,骨の内径が,京都市動物園で保有している最小のワイヤーをぎりぎり通すことのできる大きさであることが分かりました。
関節の近くの骨折ではないため,骨折部に無理な力がかかることもないと考え,手術で整復することにしました。

麻酔をかけ,骨折部を切開して手首の関節に向けてワイヤーを挿入します。
骨端を貫通させた後に,骨折部から肘の関節に向かってワイヤーの反対側を入れ,貫通する直前で止めました。
貫通させた側のワイヤーを曲げて切り,切開部を縫合して骨折の整復完了です。

再び飛ぶことができるよう,現在リハビリを行っているところです。

土佐