飼育員ブログブログ

2021年10月17日(日)獣医室だより135 ホンドフクロウの駆虫

先日の野生鳥獣救護センターのブログでも紹介されたホンドフクロウ
持ち込まれた当日は,ハエやハジラミなど外部寄生虫にたかられている状態でした。
その後,それ以外にも2種類の寄生虫に寄生されていることが分かりました。

ひとつは赤血球内原虫。
上の写真は,ホンドフクロウの血液をスライドグラスに薄く塗り広げて染色したものです。
画面いっぱいに,鳥類特有の核がある赤血球(有核赤血球)が見えます。
そのうちいくつかの細胞質(ピンク色の部分)に構造物が観察されました。
赤血球の中に感染する寄生虫で,貧血の原因となります。
以前のブログでもご紹介しましたので,覚えてくださっている方もいらっしゃるかもしれません。

もう一つは口腔内線虫。
フクロウの口の中に大量に寄生していました。
ピンセットで除去した虫体は1.5~2cm,白色で,形態から線虫と判断しました。
糞便からも虫卵が検出されています。

野生由来の個体は,どうしても寄生虫に感染している可能性が高くなります。
持ち込まれた際の初診が大切ですね。

いずれの寄生虫も,現在投薬で治療中です。

土佐