飼育員ブログブログ

2021年9月19日(日)獣医室だより131 マダラヤドクガエルの腹水

熱帯動物館で飼育しているマダラヤドクガエル。
そのうち一頭の腹部が大きくなり食欲不振を呈したため,診察を行いました。

腹が大きく膨れ,上から見て左右に張り出しています。
内部には腹水が大量に貯留しており,カエルの腹水症と判断しました。

原因としては,栄養性代謝疾患,感染症,臓器の異常等様々なものが考えられます。
本来,治療においては原因を特定し治療することが原則です。
しかし,マダラヤドクガエルでは,哺乳類のように採血等の検査を行うことができません。
このため,利尿剤や抗生剤の投与,電解質液への浸漬,腹水の抜去等,症状を緩和するための治療を行うことになります。

種々の条件を鑑みて,今回は腹水の除去を行うことにしました。
内臓を穿刺しないよう気を付けながら,極細の針を刺し,シリンジで抜いていきます。

処置直後の様子。
腹水を抜くと,やや痩せているようにさえ見えます。

下は処置後しばらく経過してからの写真。
残念ながら,腹部が少しずつ膨らんできています。
一方,処置後食欲が回復してきたため,現在経過を見ているところです。

土佐