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2021年9月15日(水)獣医室だより130 ヒガシアオジタトカゲの肺炎

ヒガシアオジタトカゲの呼吸が深くなったとの報告を受け,熱帯動物館に診察に向かいました。
確認したところ,呼吸の度に,胸の両側が大きく凹みます。
X線検査等々を行い肺炎と診断,薬を注射して治療することになりました。

爬虫類に注射を行う際の注意事項として,注射する部位の問題があります。
彼らは腎門脈系と呼ばれる血管を持っており,体の後ろ側の血流はこの脈管から腎臓に流れ込みます。
このため,腎臓への毒性の強い薬や腎臓から排出されやすい薬を打つ際には,必ず前半身に投与します。

脱水状態や浸透圧の高い環境では,この脈管の血流を低下させることにより,糸球体のろ過量を低下させて体液を保持するとされています。
哺乳類ではこの脈管は胎児期に退化し出生後には持たない脈管であるため,爬虫類,両生類及び魚類の治療において注意しなくてはいけない事項です。

ということで,このヒガシアオジタトカゲへの注射は両前肢の筋肉に行いました。
1週間経過し呼吸の状態がよくなったため,薬を少しずつ減らしていこうと思います。

土佐