飼育員ブログブログ

2021年7月30日(金)少しずつ少しずつ・・・

アカゲザルのおばあちゃん,イソコです。

おばあちゃんながらもバイタリティにあふれ,よく食べ,よく歩いていました。43歳をすぎ,最近は老いが加速してきました。
以前まで自分で皮を剥いてしっかり食べていた大好きなバナナも皮を剥く途中でぽとっと落としてしまい,食べるのを諦めることが増えてきました。職員が皮を剥いて,口に入れれば食べますが,その量も減ってきました。
自分で移動することも少なくなり,水を飲む回数も減りました。現在は職員が手伝って経口補水液を1日に何度か飲んでもらっています。
加齢性の嚥下反射の低下により,水を飲むとき,餌を食べるときにむせることも増えました。

日に日にイソコができることが減ってきています。
獣医師と一緒に今のイソコに一番いい過ごし方や薬を考えています。
治療や検査など今以上にできることはありますが,それ自体が今のイソコの負担になることもあり,負担にならない範囲で,できるだけのことをしています。

あまり調子が良くないことを伝えるのは勇気がいりますが,これまでみなさんに愛されているイソコの,これからも変わらず見守っていただきたいので,ブログでお伝えすることにしました。

イソコを愛してくださっているみなさんはこれを読んで,ご自身で何ができるかと考えてくださった方もいるかと思います。そこでみなさんにしていただきたいことをお伝えしようと思います。

ひとつめは,心の準備をしておいてください。
とってもがんばってはいますが,血液検査のデータ上も,行動からも,いつ何があってもおかしくない状況になってきました。
イソコは今までさまざまな困難を乗り越えてきたスーパーおばあちゃんなので,まだまだがんばってくれるかもしれませんが,普通ならここまでがんばれません。

もうひとつは,アカゲザルらしく過ごせるように見守ってください。
イソコはとてもかわいいですが,野生動物(動物園動物)です。ペットのように撫でたり,抱きしめたりすることはできませんし,嫌がります。
よく最期は担当者の胸に抱いてあげてほしい等と望まれる方もいらっしゃいますが,あくまでもアカゲザルで,野生動物です。
擬人化したり,ペットのように考えたりせずに,ありのままのアカゲザルのイソコを見てあげてください。
今でもビートが鳴くと反応して鳴いたりしています。できる限りビートやゴンゴと暮らせるようにしていきたいのですが,状況次第では,急に入院室などに移動することもあるかもしれません。

イソコのためにできること,その時最良の方法をスタッフみんなで考えて実施しますので,どうかこれからもあたたかく見守ってあげてください。

老猿ホーム担当  板東 はるな