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2021年6月11日(金)獣医師だより117 ゴーラルの足根関節脱臼

2021年の春先,ゴーラルのホンホンが右後肢の足根関節を脱臼しました。
右後肢を完全に挙げて,全く地面につきません。
検査の結果,骨折はないものの,骨が完全に前方にずれていることがわかりました。

この場所の脱臼は,競走馬では飛節脱臼とも呼ばれるものです。
予後は比較的悪いとされ,治療としてギプス固定による関節の固定が考えられました。
その他治療方法について,園内や他園の獣医師とも相談を重ねました。
イヌネコの治療の世界では,人工関節で関節の可動性を維持したまま回復させたり,関節を金属プレートで曲がらないよう固定したりもするようです。
ゴーラルでも同様の治療ができるか検討しましたが,関節にかかる力の強さや,治療の度に麻酔が必要なこと,患部の管理のしやすさ,及び個体の年齢を鑑み,最終的にギプスによる関節固定を選択しました。

入院室で1箇月以上安静に過ごしてもらい,麻酔下でギプスを除去。
X線で確認したところ,関節は可動性を失ったものの,脚は正常な位置関係でしっかりと固定されていました。

入院室で2週間様子を見てから,ゴーラル舎に移動させました。
麻酔から醒めた後に転んだりしないか緊張しながら見守っていましたが,翌日には元気に歩いて餌を食べていました。?

歩き方がぎこちなくなりましたが,今日も元気に過ごしています
京都市動物園にお越しの際は,是非会いに来てくださいね。

土佐