飼育員ブログブログ

2021年3月20日(土)獣医室だより105 ハヤブサの趾瘤症と減量

現代人は過食である,と言われています。
かつてヒトは,食料の乏しい野生下を生き抜くために,栄養を蓄えやすい体になりました。
現代では,食べ物が十分過ぎて,逆に問題を引き起こしているわけですね。
そのため,我々は自発的に(時に強制的に)運動をしたり,食事改善を行ったりします。

動物園の動物たちも,もし好きなだけ餌を与えると同様の事が起こります。
彼らの代わりに体調の管理を行うのは,飼育担当者と獣医師の役目。
かわいいから,お腹が減っているみたいだから食べたいだけあげるという考えでは務まらない仕事です。

当園で飼育しているハヤブサの足の裏に,小さな趾瘤症(しりゅうしょう)が見つかったのは昨年冬の事。
左右の肢に赤い変色が見られるのがお判りでしょうか。


運動できるスペースで飼育しており,人工芝を巻いた様々な太さの止まり木を入れていたため,原因は体重過多だと考えました。 
カロリー計算を行い,給餌量を調整,飼育担当者に伝えて減量を行います。
定期的に体重測定を行い,急に痩せすぎないよう注意しながら2箇月経過。
捕獲して趾裏の経過を観察しました。


趾裏の赤みが引いている様子が分かります。
今後も様子をみつつ,給餌量を調整していく予定です。
なお,動物の体重を調節する際は,一般に月最大5%前後の変化に留める必要がある,と言われています。
今回はやや急激な体重減だったため,今後はもう少し緩やかな変化になるよう注意したいと思います。

土佐